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多様な視点で復興考える 展示会「つまずきの庭」、来月13日まで 石巻・旧観慶丸商店

映像作品や写真が展示されている会場
23日に開催された清水さん(左)らのトークショー

 東日本大震災の復興について考える展示会「つまずきの庭」が石巻市中央3丁目の旧観慶丸商店で開かれている。期間中、さまざまな視点から「復興」とは何かを考えることができる。3月13日まで。

 「つまずきの庭」は、文化庁の新進芸術家海外研修制度の成果を発表する場として1998年から主に東京で開かれる「DOMANI・明日」の一環。24回目となる今回は茨城県、京都府、広島県、愛知県であり、会場ごとに作家が展示をした。

 石巻市では美里町の写真家で美術家の志賀理江子さんと「つまずきの庭」の演出を手掛ける仙台市のキュレーター清水チナツさんが写真や映像作品など約50点を展示している。

 清水さんは研修派遣先のメキシコで見た、車の速度を制御するため住民が車道に設置した隆起「トペ」を、志賀さんは清水さんらと東北地方の沿岸部に造られた防潮堤を巡った際の映像などを公開。

 作品について志賀さんは「防潮堤はできたが景色は均一になった。守られていると同時に近代の抑圧に閉じ込められているように見えた」と解説。清水さんは「立ち止まって復興とは何かを考えるきっかけにしてほしい」と話す。

 企画展が始まってから何度も足を運ぶ来場者もいて、震災以降の歩みを振り返っている。清水さんは「考えを巡らせる装置としてさまざまな仕掛けを用意した。記憶を整理する意味も込めて来てほしい」と呼び掛けている。

 26日には石巻市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)で、大船渡市の振付家磯島未来さんのワークショップもあった。3月10日は牡鹿半島でニホンジカの駆除をする猟師の小野寺望さんと映像技術者の長崎由幹さんのトークショー(午後1時半~3時半・オンライン配信)が予定されている。

 開館は午前10時~午後5時。火曜休館で入場無料。

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