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悼む心を現世に生かそう 「散華」販売、NPOに寄付 石巻・西光寺

寄付金を贈った樋口住職(左)と高橋共同代表理事
六文銭の代わりに購入してもらう散華

 石巻市門脇町2丁目の西光寺は、納棺時に遺族らがひつぎに入れる六文銭の代わりにハスの花を模した「散華(さんげ)」を購入して納めてもらい、その利益を社会福祉活動に寄付する取り組みを進めている。開始から2年ほどで約33万円が集まり、2月27日に同市のNPO法人に贈った。

 六文銭は死後の世界に旅立つために必要なお金として納める副葬品。東北などで広く見られる風習だが、金銭の副葬を禁じる火葬場や自治体が多くあり、火葬後に小銭をお守りとして持ち帰る習慣も薄れてきたという。西光寺の樋口伸生住職(59)は「真心を込める作法ではなくなった」と形骸化を感じ、六文銭を善意の寄付に変えることを思いついた。

 散華は出棺時などにまく色とりどりの色紙で、納めるとひつぎが華やかに飾られるという。西光寺は遺族らに説明して1セット3枚を100円で購入してもらい、利益分の40円を寄付金に充てる。2019年12月に始め、これまでに1000人以上が協力した。

 樋口住職は「悼む心が社会に慈悲を生む力になる。多くの皆さんに知ってもらい、他の寺にも広がってほしい」と願う。

 寄付金は社会課題の解決に幅広く取り組む同市のNPO法人石巻復興支援ネットワークに贈った。家庭環境が原因で通学や進学が難しい子どもたちの学習、生活支援の活動費に活用される。

 ネットワークの高橋洋祐共同代表理事兼事務局長(37)は「貴重な寄付をいただいた。自分たちもしっかりしなければならないと身が引き締まった」と感謝した。

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