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女川原発重大事故時の避難路・石巻バイパス沢田工区 国交省、事業化手続き開始

国道398号石巻バイパス沢田工区
国道398号石巻バイパスの未整備区間。新ルートでは正面奥の山間部にトンネル整備が計画される=石巻市真野

 国土交通省は3日、石巻市と女川町を結ぶ国道398号石巻バイパス沢田工区(約5.8キロ)に関して、国直轄整備への移行の前提条件となる「新規事業採択時評価」の手続きに入ったと発表した。有識者委員会の協議などを経て、近く事業認定される見通し。

 石巻市真野と女川町浦宿浜をつなぐ沢田工区は、東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の重大事故時に避難道路となる。県は昨年、海側を避けて山側にトンネルを2本通す新ルートをまとめ、国直轄での整備を国交省に要望した。

 同省は要望に基づく調査で、冠水が頻発し、カーブが多い国道398号に代わる災害時や救急搬送時の道路確保が必要だと認定。技術面では、軟弱な山間部でのトンネルや盛り土工事が必要で「高度な技術力の活用により事業実施が可能となる」と結論づけていた。

 新規事業採択時評価は2022年度予算編成に向けた手続き。有識者ら第三者による委員会で評価結果が近くまとまり、22年度の新規事業に認定されるとみられる。

 石巻バイパスは三陸沿岸道石巻女川インターチェンジ近くと女川町浦宿浜を結ぶ。南境工区(約2.7キロ)が2009年12月、大瓜工区(約3.4キロ)が18年11月にそれぞれ開通し、残る沢田工区が事業化されていなかった。

 村井嘉浩知事は「新規事業化に向けて大きく前進した。災害時にも機能する信頼性の高い道路網が構築されるとともに、救急医療や水産業、観光振興を支える道路として地域発展に大きく寄与する」との談話を出した。

 斎藤正美石巻市長は「近年激甚化・頻発化する気象災害に対して脆弱(ぜいじゃく)な区間であり、早期の国直轄による事業化を要望していた。大変喜ばしい」と歓迎。

 女川町の須田善明町長は「高速道路網のない町にとって30余年要望を続けてきたアクセス道路の実現は、東日本大震災からの真の復興につながる。住民一同、早期事業着手を心から願う」と期待した。

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