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震災の記憶、風化防ぐ 石巻市旧大川小で「竹あかり」 未来照らす

竹あかりの温かな光で照らされた旧大川小の会場

 東日本大震災の発生から11年を迎えた11日、津波で児童74人と教職員10人が犠牲になった石巻市旧大川小で、手作りの竹灯籠に明かりをともす追悼行事「大川竹あかり」が初めて開かれた。ほのかな光がかつての学びやに浮かび、来訪者や地域の未来を照らした。

 高さ5メートルの竹を中央に置き、周りを取り囲むように犠牲者の数と同じ84本の短い竹灯籠を並べ、発光ダイオード(LED)電球で光る「竹あかり」を旧校舎西側に設置。午後6時前に点灯され、訪れた人々はさまざまな模様から漏れる光を見て回った。遺族や元住民同士の交流もあり、会場は温かな雰囲気に包まれた。

 6年だった長男大輔君=当時(12)=を亡くした今野浩行さん(60)は「もしこの空に子どもたちがいるなら、竹あかりを見ていてほしい」と話した。

 児童遺族らでつくる「大川竹あかり実行委員会」が企画。大川小事故の記憶の風化を防ぎ、被災した地元に根付く新しい行事にしようと実施した。竹あかりの制作には全国から延べ約500人が携わった。

 実行委の委員長で、6年だった三男雄樹君=当時(12)=を失った佐藤和隆さん(55)は「震災の風化はこれからも進んでいく。防災について考えるきっかけになるよう、今後も行事などを通して発信を続けていく」と語った。

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