魚類イラスト図鑑出版 元宮城水産高教諭・座間さん、156種手描き
石巻市渡波の元宮城水産高教諭、座間彰さん(71)が石巻地方をはじめ日本近海の太平洋側に多く生息する魚を中心に156種を水彩画で紹介する「手描きの魚類図鑑 お魚あれこれ」を出版した。魚の特徴を捉えたイラストは見応えがあり、大人から子どもたちまで楽しく魚について学べる一冊となっている。
図鑑はB5判、122ページ。収録されたのはサンマ、サバ、イカナゴなど石巻地方でも食卓に載る魚が多い。イシダイやメバル、アユ、イワナといった釣りで親しまれる海水および淡水魚、サメ類、カジキ類など魚市場に水揚げされるものもある。
リュウグウノツカイ、シーラカンスといった珍しい種類もあり、魚の世界の奥深さを知ることができる。写真ではなくイラストにしたことで特徴をつぶさに学べる。
文章では生態や分布、利用方法などをコンパクトにまとめた。例えばキチジは「眼下に8本以上の棘(とげ)が縦列」との形態から「水深70~1200メートルの海底に住み、魚類、エビ類、クモヒトデ類などを捕食」と生態を説明。「駿河湾から北海道までの太平洋岸…」などの分布や「煮付け、焼き魚、一夜干し、蒲鉾(かまぼこ)原料など」と利用法を挙げた。余談として「東北では『きんき』と呼ばれ別格扱い、脂が乗った煮付けは美味」と紹介している。
座間さんは千葉県出身。30歳を過ぎてから来石した。余談ではキンキの値段の高さに驚いたことや、石巻地方ではサケと見まごう大きなアイナメに驚いたことなど、ユーモアに満ちたエピソードがあふれている。
当初は石巻市図書館の小学生向け魚講座のため、水彩色鉛筆画サークルで磨いたイラストの腕前を生かして描き始めたが、講座が新型コロナウイルス禍で中止に。描き進めるうちに150種を超え、本にまとめることにした。
座間さんは「夕食で食べたり、テレビやスーパーで見るなど魚にちょっと興味が湧いたとき、気軽に調べることができる本になれば幸い」と話す。
1650円。市内の各書店で販売している。