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のり弁で復活の道歩む 磯乃屋津田海苔本舗、震災で被災 「憩いの場つくり恩返し」

弁当を販売する津田社長(右)
こだわりの「のり弁(鮭)」

 東日本大震災で被災し、拠点を仙台市内に移して営業していた石巻市渡波の「磯乃屋 津田海苔(のり)本舗」が2019年に再開。翌年には震災前にも販売した無添加と素材にこだわった「のり弁」も販売を始め「復活の第一歩」を歩んでいる。

 のり弁は毎週火曜日に販売。シャケと唐揚げ(各500円)、両方が入ったスペシャル(600円)の3種類がある。ご飯に県産のノリを載せ、紀州産梅干し、手作りの卵焼きやつくだ煮、ポテトサラダとボリュームたっぷりだ。

 「おいしさの秘密は厳選したノリ」と津田文彦社長(59)。その年最も出来が良い県産ノリを選び、香り高く仕上げる。

 配達にも応じる。とある職場に数個を届けたところ、弁当のふたを開けたときに広がるノリの香りが評判に。現在では100食前後の注文が入るようになった。震災前からの客も店先にのぼりが建っているのを見つけてうれしそうにやって来るという。

 震災では家族7人とペットの犬が難を逃れ、自宅と店舗を仙台市内で借りた。店では石巻店と同様、三陸産の海産物を販売。看板に「石巻」と掲げたところ、津田社長家族のように石巻から避難してきた人などが訪れた。

 津田社長は「被災してボランティアの人に世話になった。その恩を返したい-」との思いを持っていた。店内に歓談スペースを作り、カラオケも置いた。石巻弁も飛び交う。店は地元仙台の人も集まり交流する憩いの場となった。

 同社専務で妻の恵美さん(58)は「当初はいつ石巻に帰れるかと不安に思っていた。震災でなくした物もあったが、人との出会いがあり、得たものも大きい」と笑顔で話す。数カ月のつもりで始めた仙台の店は今年で9年目に突入した。

 自宅も石巻に移し、仙台の店と行き来しながら営業している。津田社長は「ノリ弁は復活への第一歩。石巻でも憩いの場をつくり、震災前のような日常とお客さまの笑顔を取り戻したい」と力を込めた。

 営業は平日午前10時~午後3時。所在地は石巻市渡波栄田79の1。連絡先は0225(24)1454。

磯乃屋 津田海苔本舗
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