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石巻市中心部の鮮魚店まるか、今月末閉店 「最後までいい魚を届けたい」

まるかの外観。震災で大きな被害を受けたが、いち早く営業を再開した
長年愛されたプロショップまるかの店内と佐々木社長

 石巻市中央1丁目の鮮魚店「プロショップまるか」が31日で閉店する。運営する「まるか中央鮮魚」の佐々木正彦社長(69)が自身の年齢や体調、新型コロナウイルス感染拡大の影響などから決めた。惜しまれつつ、半世紀以上の歴史に幕を下ろす。

 まるかは仙台、石巻両市の市場で仕入れた魚介類を店頭で販売するほか、市内外のすし店や和食店などに卸している。煮魚や塩辛といった手作りの総菜も人気で、地元だけでなく遠方からも買い物客が訪れる。

 佐々木社長は石巻高時代にアルバイトとして店を手伝い始めて約50年。うち30年間は2日に1回の透析治療を続けながら働いてきた。4月で70歳を迎えるため「きりがいい」と、以前から3月での引退を決めていた。

 店は従業員へ譲ろうと準備していたが、新型コロナの影響で売り上げが半分以下に減り、断念せざるを得なかった。他にも事業承継の道を探ったものの、実現しなかった。

 佐々木社長は魚屋一筋で歩んできた。友人の母がまるかを営んでおり、大学進学で石巻を離れても帰省する度に店を手伝った。大学卒業後も働き、創業者の娘の和子さん(74)と結婚し店を継いだ。バブル景気の頃には取引先が約250店あった。

 東日本大震災では津波で1階天井まで浸水。廃業も考えたが、ボランティアや友人知人に助けられ、2011年5月に営業を再開した。被災した近隣の中華料理店や、すし店など4店に一角を提供し「石巻名店街」として、各店が再建するまでともに客を迎えた。

 最終日も特別なことはせず、静かに店を閉めるつもりだ。佐々木社長は「店の品ぞろえは少ないが、最後までいい魚を仕入れて届けたい」と力を込めた。

 27日は店休日。営業時間は午前9時~午後6時。

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