3年ぶりコウナゴ 不漁脱出願い活気づく 石巻魚市場
三陸沿岸に春漁の訪れを告げるコウナゴが4日、石巻魚市場に3年ぶりに水揚げされた。近年、全国的な不漁が続き、石巻でも2020年からは水揚げなし。初水揚げとなったこの日は約520キロが揚がり、市場は活気づいた。
石巻市の第38黄金丸(9・7トン)が仙台港沖で操業。午前5時ごろ、市場に運び込まれた。船長の安海繁男さん(63)は「姿が見られない年が続いていたので不安だった。漁師の生活に直結する問題なので安心した」と喜んだ。
買い受け人らは銀色に輝く魚体を手に取り、熱心に品定め。価格は1キロ当たり2500~1690円と高値が付いた。木の屋石巻水産の平塚善海取締役製造部長(50)は「春といえばコウナゴ。消費者と同じように、我々も待ちわびていた」と話した。
石巻魚市場にとって、コウナゴは春の主力魚種の一つ。過去には1シーズンで9億円以上を売り上げたこともある。佐々木茂樹社長は「初日に姿を見られたのは良かったが、親魚の水揚げが振るわない。1日100トン以上水揚げした年もあったので、安定した状態が続いてほしい」と願った。
コウナゴはメロウドの幼魚。主に釜揚げやつくだ煮などに使われる。県水産技術総合センター(石巻市)では、海水温の上昇により、成育環境が適さなくなっていることが一因ではないかと分析している。
石巻魚市場での水揚げ量は2017年の2460トンをピークに減少が続く。19年は約25トンだった。漁は5月20日ごろまで続く見込み。