石巻・和渕に蔵ギャラリー 築100年、地元出身の鈴木さんが改装
築約100年の蔵を生かしたギャラリーが2日、石巻市和渕にオープンした。地元出身の元歯科医、鈴木征三郎さん(80)=仙台市青葉区=が、父の描き残した絵画を展示しようと蔵を改装した。地域のアマチュア作家の発表の場としても運営する。
鈴木家は2009年まで約150年続いた材木商で、蔵には家財や日用品を保管していたという。1990年に亡くなった父寛一さんは地元で歯科医院を営みながら趣味で筆を執っていた。
鈴木さんが歯科医を引退後、蔵や倉庫を整理した際、寛一さんが古里の風景や人物を描いた油絵など約100点を見つけた。鈴木さんは「父の魂がこもっている。処分できない」と考え、蔵をギャラリーにすることを思いついた。
蔵は父の名から「鈴寛ギャラリー」と名付けた。寛一さんの作品のほか、現在は石巻市出身の洋画家浅井元義さん(1938~2018年)ら地元作家の水彩画や油絵、陶器など約50点を展示している。
鈴木さんの幼なじみで自らの作品も出品する庄司憲二さん(74)が館長として運営する。「定期的に作品を入れ替え、高校美術部の作品なども展示したい。作品を展示したい人は連絡してほしい」と語る。
鈴木さんは「有名作家でなく、地域の人の作品に光を当てたい。芸術を通してコミュニケーションが生まれる場にもなれば」と願う。
開館時間は土、日曜の午前9時半~午後4時半。利用無料。連絡先は庄司さん090(2026)1527。