解体中の復元船サン・ファン号、近くで 野外広場から見学可能に 石巻
老朽化などで昨年11月に始まった石巻市渡波の県慶長使節船ミュージアム「サン・ファン館」の木造復元船サン・ファン・バウティスタ号の解体工事がより近くで見学できるようになった。
22日から館内エスカレーターで降りた先にある中段野外広場にある遊歩道、展望台から解体工事を見学できるようにした。今までは、マストなど大型クレーンが必要な作業が行われていたことからミュージアム屋上にある公園付近からの見学に限られていた。
工事の進み具合にもよるが同館では「おおむね7月末まで、役目を次の形に引き継ぐ復元船の最後を見てほしい」と話す。
サン・ファン館は復元船の解体、さらにその後のリニューアル事業期間を含め、原則として通常通り営業を続ける。無料駐車場もあり、多くの来場、利用を呼びかけている。
2024年度にリニューアルオープンを目指しており、大きさが4分の1の繊維強化プラスチック(FRP)製の後継船を造るほか、復元船から取り外す羅針盤などの部品やマスト、船尾外観部分などは状態を判断した上で保存し、館内での展示を検討する。さらに慶長使節団の研究が大きく進んだことを受け、学術的な展示内容の充実も同時に行う予定だ。
復元船は1993年に建造されたが、木造であることに加え、海水に浮かべる停泊状態での展示だったこともあり、腐食などの老朽化が進んでいた。県は補修や維持にかかる費用や木造船再建の技術的課題などを総合的に考慮し、2017年に保存断念を決めた。