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手作り人形「おのくん」10周年、仮設住宅で誕生 新作は一刀彫

蔵王一刀彫のおのくんと武田さん

 東日本大震災で被災した東松島市の女性たちが靴下で作るサルの人形「おのくん」が誕生して20日で10年を迎えた。購入者は国内外で26万人に達し、10年を記念して新たに一刀彫のおのくんも登場した。受注販売し、5月4日まで注文を受け付けている。

 おのくんは2012年4月20日、同市の小野駅前仮設住宅で誕生した。集会所に集まった女性らが手作りし、住民とボランティアらの交流を生んだ。仮設住宅の閉鎖後はそれぞれが自宅などで制作。カラフルな色合いと愛くるしい表情が人気を集めている。

 一刀彫のおのくんは「蔵王一刀彫の木くずで何かできないか」との購入者の提案がきっかけで生まれた。蔵王一刀彫は「奈良一刀彫」の技法を基に奈良県出身の石橋康宏さん(39)が創始し、蔵王町に工房を構える。

 おのくんを作る有志グループ「空の駅プロジェクト」の新城隼共同代表(51)が工房を訪ね、一刀彫のおのくんと制作段階で出た木くずを活用したにおい袋の販売が実現した。

 クスノキや桜を材料に、「金箔(きんぱく)」や「日本画彩色」、「根付」など7種類がある。石橋さんは「おのくんのことは以前から知っていた。制作は身が引き締まる思いだった。おのくんならではのかわいらしさを出せるよう心掛けた」と話す。

 におい袋は人形作りに使用できない丈の短い靴下でおのくんを作り、消臭やリラックス効果があるクスノキの木くずを詰めている。

 空の駅プロジェクトは毎年5月4日におのくんの生誕祭を開いていたが、新型コロナウイルスの影響で3年連続で中止した。共同代表の武田文子さん(71)は「26万人の方がおのくんを迎えてくれたことに感謝したい」と語り、新城さんは「一刀彫を通して、新たにおのくんが知られるきっかけになってほしい」と話す。

 価格は1万1000円~28万6000円。におい袋は1200円。JR陸前小野駅前の交流施設「空の駅」や公式サイトで注文できる。連絡先は0225(90)3314。

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