石巻の食材、総菜パンで気軽に 石巻・上品の郷が開発、販売
石巻市小船越の道の駅「上品の郷」は、車内などで気軽に食べることのできる総菜パン2種類を開発し、ゴールデンウイークの初日となる4月29日、販売を始めた。近年、増えている敷地内駐車場で車中泊をする人たちに「石巻の食材を使った軽食を朝食として提供できないか」と考え、カレーパンとシチューパンを思いついた。試食会では「多くの人が満足できる味。量もちょうどいい」とおおむね好評を得ており、名物として売り込む。
カレーパンには、石巻地方で捕獲し加工された鹿肉を使う。シチューパンは石巻地方の海で養殖されるホタテがメイン食材となる。さらに野菜、油で揚げる際につなぎに使う卵も石巻の養鶏業者のものを使うなど、食パンと油を除くと「オール・石巻」の総菜パンだ。
開発に当たっては、上品の郷でかつて直営していたレストランの料理長を務めていた施設営繕課の相沢洋さん(57)を中心に、石巻市6次産業化・地産地消推進センター(同市開成)が協力し、半年間、試行錯誤を重ねた。
レストランではかつて鹿肉カレーを提供し、人気メニューだったことから発展させた。海の食材として安定的に入手でき、濃厚なうま味があり、食感もいいホタテに白羽の矢を立てたが、カレーではホタテの風味を損なうため、シチュー具材とすることを思いついた。
揚げたて熱々もおいしいが、冷めてもおいしいこと、食中毒対策面からも揚げパンという形態に落ち着いた。二つとも1個税込みで250円という値段設定は、ワンコイン(500円)で両方、購入できる点に留意した。さらに三角形の形は食べやすさと、上品山をイメージするという遊び心も加えた。
販売は当面、1日30個ずつを予定。提供時間は上品の郷の営業時間に合わせて午前9時から。今後、ニーズ調査をしながら、販売個数、さらに販売時間については早めることも検討していく。
相沢さんは「山里だけでなく、海の食材も豊富な石巻にある道の駅として、お客さんの満足度を上げる努力を続けていきたい」と張り切っている。