山形・鮭川歌舞伎、半世紀ぶり「土舞台」 保存会50年で原点回帰

 山形県鮭川村の住民らに約250年間受け継がれた「鮭川歌舞伎」が6月12日、土を盛った舞台「土舞台」で半世紀ぶりに公演される。近年の屋内会場から地元の歌舞伎保存会の結成50周年を機に原点回帰する。コロナ下で3年ぶりに観客を入れての公演で、今月9日に観覧の申し込みを始めた。関係者は「多くの先人が立った舞台での昔ながらの演舞を楽しんでほしい」と来場を呼びかける。

半世紀ぶりに鮭川歌舞伎を演じる愛宕神社の土舞台を確かめる高橋座長

 京塚地区の京塚愛宕神社の境内にある土舞台は、幅約15メートル、奥行き約7メートル、高さ約1・5メートル。江戸中期に歌舞伎が村内に伝わって以来、演じられてきた。鮭川歌舞伎保存会の高橋真一座長(73)は「村人らが総出で観劇を楽しんだ。1年で一番の楽しみだった」と懐かしむ。

 土舞台はやぐらを組むなどの手間がかかるため、50年前から使われなくなった。30年ほど前にテレビ撮影で一度だけ復活して以降、公民館などでの屋内開催に変わった。毎年6月の公演には観光客ら約600人が訪れたが、新型コロナウイルスの感染拡大で2020年から2年続けて無観客開催となり、インターネットで動画を配信した。

 昨年、保存会が結成50周年を迎えて会員の間で土舞台での公演再開の機運が高まり、今年実現にこぎ着けた。高橋座長は「神社の神様の前で演じ、奉納するのが本来の姿。50周年の節目に原点回帰したかった」と語る。

約30年前にテレビ番組の収録のため実演された土舞台での鮭川歌舞伎の様子(村提供)

 演目は、長く演じられてきた「仮名手本忠臣蔵」など。入場者は予約で250人に絞り、村中央公民館でのパブリックビューイングや動画投稿サイト「ユーチューブ」の配信でも楽しんでもらう。歌舞伎ソムリエのおくだ健太郎さんによる解説や鮭川歌舞伎キーホルダーの販売などもある。

 土舞台の周囲はスギやナラの巨木が茂り、荘厳な雰囲気を醸し出す。「豊かな自然に囲まれて演じる昔ながらの芝居を楽しんでほしい」と高橋座長。

 初めて土舞台を踏む若手座員の村職員山科裕一さん(38)は「土舞台の歌舞伎は全国的にも珍しいはず。屋外では声の伸びも違うと思うので、観劇される方と共に私たちも楽しみたい」と心を躍らせている。

 開演は正午の予定。観覧申し込みは電話や電子メールなどで受け付ける。連絡先は村役場内の特別公演実行委員会0233(55)2111。

半世紀ぶりに開催する土舞台での公演のチラシ
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