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提訴への思い、大川小遺族追った映画「生きる」 石巻で完成試写会

大川小津波訴訟原告遺族らの心情を追った映画の試写会

 東日本大震災の津波で児童・教職員計84人が犠牲になった石巻市旧大川小の津波訴訟原告遺族らの歩みを記録したドキュメンタリー映画「『生きる』 大川小学校津波裁判を闘った人たち」の完成試写会が3日、同市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)であった。一般向け試写会は全国で初めて。

 映画は、遺族が撮影した市教委による説明会や市が設置した第三者事故検証委員会とのやりとり、避難経路検証の様子が中心。遺族や原告団代理人弁護士へのインタビューを交えて124分に編集し、今年4月に完成した。来春に東京都内で公開を予定する。

 県内外の188人が鑑賞し、裁判に至る過程や遺族の思いに理解を深めた。都内の会社員市木宏さん(68)は「裁判や遺族の心情を映像でリアルに知ることができた」と話した。

 監督を務めたテレビ番組制作会社「パオネットワーク」(東京)の寺田和弘さん(50)は「この映画で大川小の全てを語ることはできない。映像で事実を知ってもらい、現地を訪れるきっかけにしてほしい」と語った。

 試写会後は、石巻市の震災遺構大川小で遺族による語り部活動があった。

 津波訴訟は2019年10月、学校側の事前防災の不備を認めて市と県に賠償を命じた仙台高裁判決が確定した。