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洋間用畳、天然素材で 稲わらの温かみと薄さ両立 石巻・須江「和楽」

和楽畳のサンプルを手に持ち、PRする佐々木会長
和楽畳1枚は縦横各85センチ。6枚組み合わせると約3畳の大きさになる

 畳、畳床の製造販売などを手がける石巻市須江瓦山の「和楽」が、フローリングの上に敷く稲わら製の置き畳「和楽畳」を開発した。佐々木正悦取締役会長(69)は「化学素材でできた置き畳が普及する中、稲わら製の置き畳は、ほとんどなかった」と説明。昔ながらの稲わら畳の土台となる稲わら畳床を従来の半分の厚さ2・5センチ(仕上がり3センチ)まで薄くし、軽く耐久性のあるものに仕上げた。

 「最近は和室を設ける家も少なくなり、畳の需要が減っている。さらに新型コロナウイルスの影響で、需要減に拍車がかかっている。厳しい状況を打破するために何か良いアイデアはないかと考えた」と、佐々木会長は振り返る。

 現在、フローリング用に使用されている化学素材の置き畳とは違い、和楽畳は全て天然素材で作られる。安心・安全な上、稲わらを圧縮しながら縫うため、畳独特の柔らかい感触と温かみが特長という。

 市場調査も兼ねてクラウドファウンディングの専用サイトに「和楽畳プロジェクト」として公開したところ、支援額は100万円を突破し、目標の3倍以上となった。一般消費者をはじめ、全国の畳店からの協賛が得られ、販路開拓に確かな手応えを感じている。

 宮城県は稲わら畳床製造で全国一のシェアを誇る。佐々木会長は「畳を薄く平らにできる技術はうちだけ。業界に少しでも貢献できれば」と話す。さらに、糸で縫う畳職人の技能継承や日本固有の稲わら文化の存続などを訴えながら「本物の畳を世界にも発信していきたい」と意気込む。

 これまでも畳の技能グランプリで日本一に輝いた高松市の畳店に材料や技術を惜しみなく提供してきた。この畳店はホームページなどを通じて海外に本物の良さを伝えているという。

稲わらユニット畳「和楽畳」 | 稲わら畳床を全国へ販売【和楽】