河北春秋(5/15):「県民は基地のない平和の島としての復帰を…

 「県民は基地のない平和の島としての復帰を強く望んでいる」。沖縄県が日本に復帰する前年の1971年、米統治下の琉球政府が日本政府に要請した「復帰措置に関する建議書」にこう記してある。にもかかわらず、沖縄には国内の米軍専用施設が集中したまま。米軍絡みの痛ましい事件や事故は絶えない。日米安全保障は、復帰から50年を迎えたきょうも沖縄の基地負担で成り立っている▼いわき市生まれの哲学者高橋哲哉さんは、誰かの利益が別の誰かを犠牲にして生み出され、それが偶発ではなく制度のような形で成り立つ場合を「犠牲のシステム」と呼ぶ▼かつて本紙の取材に「個人的に沖縄を差別する人はあまりいないが、本土への基地受け入れに反対し、沖縄に基地を閉じ込めていること自体が『構造的差別』に他ならない」と語っている▼玉城デニー沖縄県知事は7日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設断念や日米地位協定の抜本的見直しを求める新たな建議書を発表した。だが政府は辺野古移設が「唯一の解決策」との立場を崩さず、地位協定見直しにも否定的だ▼これらは沖縄だけの問題ではない。目を背けたままでいいのか。「国民全体で考えてほしい」という玉城知事の切実な要望をもはや無視できまい。(2022・5・15)

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