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石巻市議選 雄勝の有権者3割減 各陣営、河南への遊説活発

高い防潮堤に囲まれた雄勝地区を遊説する選挙カー。前回からの4年間で有権者数は3割減った(写真を一部加工しています)

 22日投開票の石巻市議選は、14日現在の有権者数が11万9489人で、前回2018年に比べて約5300人減った。特に東日本大震災で甚大な被害を受けた半島沿岸部は人口流出が止まらない。人口減少対策は論戦の主要テーマだが、各陣営の戦略にも影響を与えている。

 「地域が一丸になっても前回の当選ラインに届かない」。雄勝地区選出の現職は市選管が14日に発表した選挙時の選挙人登録者数を確認し、危機感を新たにした。

 市内の全7地区で前回より登録者数が減る中、地区別で最も減少率が高かったのが雄勝地区だ。前回比439人減の1040人で、減少率は約3割に上る。

 前回の最下位当選の得票数は1194票。地区全体の票を集めたとしても及ばない。この現職は今回、知人や雄勝出身者を頼るなどして旧市内をはじめとした他地区への拡大をより強化する。

 雄勝地区在住の候補者はただ一人だ。現職は「地元の市議がいなくなれば市政に声が届かなくなる。あってはならない」と気を引き締める。

 雄勝に北上、牡鹿両地区を含めた半島沿岸部はいずれも減少率が1割を超えた。人口が少なく、集落間の距離も長い半島部へは候補者の足が遠のく。一方で、各陣営が積極的に遊説に入るのが内陸の河南地区だ。

 河南地区は4月末時点の人口が7地区で唯一、震災前を上回る。商業施設が集積する大票田の蛇田地区とも隣接する。旧市内が地盤の現職は「河南には積極的に行く。市の中心は徐々に西に移っている」と言う。

 ただ、河南地区も高齢化は進み、有権者数は前回より減った。地区内では今回、現職2人に加えて新人2人も名乗りを上げ、票の奪い合いも激化している。現職の1人は「遊説に来る候補者は4年前より増えている。食われる票もあるかもしれない」と語った。

【石巻市の地区別有権者数】(14日現在)

      今 回     前 回    減少率(%)
石 巻  83,916  86,802   3.3
河 北   8,795   9,310   5.5
雄 勝   1,040   1,479  29.7
河 南  15,956  16,380   2.6
桃 生   5,862   6,334   7.5
北 上   1,931   2,160  10.6
牡 鹿   1,989   2,323  14.4
合 計 119,489 124,788   4.2

私の一票

■働く場確保して 杉山大愛さん(17)=高校生、石巻市高木
 人口減少が進む中、住み続けたいと思うまちづくりが求められる。大型ショッピングモールなど休日、仙台に行かなくても石巻で楽しめる場がない。電車の本数も少ない。買い物や食事を満喫できて、都会に出なくても働ける場を確保してほしい。政治に関わる人は市民の声を聞くことが大切。来月で18歳になる。選挙権の行使を前に、次代を担う若者の思いを伝えたい。

■地元の声反映を 高橋遼さん(26)=団体職員、石巻市雄勝町味噌作
 道の駅「硯上の里おがつ」が完成し、イベントも定期的に行われるため、地域のにぎわいができ観光客も多くなってきた。防潮堤や道路も整備され、ハード面での復興は進んだ印象を受ける。

 主要産業である漁業は担い手の高齢化が進んでいる。地域の中での買い物の不便さも気がかりだ。より地元の声に寄り添った政策に期待したい。

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