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津波被害水田、12年ぶり田植え 7.3ヘクタールに「ひとめぼれ」 石巻

震災後、ようやく田植えを再開した水田

 東日本大震災の津波被害を受けた石巻市北上町十三浜吉浜前の水田で16日、12年ぶりの田植えが行われた。当初は今月上旬を予定していたが、石巻地方で震度6弱を記録した3月16日の地震で、水田に水を引き入れる揚水機が故障し、延期していた。

 7.3ヘクタールにひとめぼれを植えた。田植えをしたのは、同市北上町女川の大内産業。地域の農家約80戸から委託を受け、今回の水田を含む70ヘクタールでササニシキとひとめぼれを植えている。社長の大内弘さん(59)は「除塩を終えても、水の確保ができず、ずっと稲作ができずにいた。震災から11年が過ぎて、ようやくほぼ全ての用水路、取り付け道路の整備が済んだ。長かった」と話す。

 大内さんは、農家の高齢化、後継者不足が深刻になる中、耕作放棄地の拡大を食い止め、里山と農業を守る目的で起業し、昨年からは衛星利用測位システム(GPS)機能が付いた最新の田植え機を導入し、作業の効率化を進めた。

 受託する他の水田は10日までに田植えを終え、早ければ8月下旬からの収穫を見込む。今回の水田は9月上旬になる予定だ。北上地区は、豊富な沢水と北上川沿いに日当たりのいい平たんな土地が広がる水田の適地。大内さんは食料自給率を高めるためにも、稲作を後世に伝えたいと作業に汗を流していた。

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