石巻市議30人決まる 新人8人、世代交代進む
任期満了に伴う石巻市議選は22日投票が行われ、即日開票の結果、新議員30人が決まった。立候補した43人のうち、新人は合併後最多の8人が当選し、現職4人が落選した。投票率は51・34%で、過去最低だった前回2018年の51.77%を0.43ポイント下回った。当日の有権者は11万7744人。
前回より5人多い新人16人が名乗りを上げた市議選で、有権者は変革を選択した。新人8人と元議員1人が当選し、市議会の顔ぶれの約3分の1が変わることになる。
新人の当選者数は06年の7人を超え、05年の1市6町合併後では最多。世代交代も進み、当選者の平均年齢は57.9歳で、現職29人の平均(64.8歳)より6.9歳、前回の当選者の平均(60.7歳)より2.8歳下がった。改選前に2人だった40代が5人、ゼロだった30代は2人当選した。
地縁、血縁が当落を左右すると言われる市議選で、東日本大震災の復興支援をきっかけに市内に移住した新人3人も当選を果たした。新人のトップは前回に続き2度目の挑戦だった勝又和宣氏(50)が取った。
第1、2会派の会長がいずれも落選するなど、現職のベテランには逆風が吹いた。最大会派「ニュー石巻」の阿部欽一郎氏(74)と、立憲民主公認で「創生会」会長の千葉真良氏(69)が僅差で涙をのんだ。県議を6期務め、17年の市長選にも出た黒須光男氏(75)も敗れた。
最多得票は前回に続き現職の山口荘一郎氏(45)で、当選4回のうち3回目。支援を受ける東北電力労組を中心に支持を固めた。2位は最多タイの6選を果たした西條正昭氏(70)。地盤の北上地区で支持を広げ約300票上積みした。3位は公明現職の渡辺拓朗氏(61)だった。
当選者の党派別内訳は公明3人、共産2人、無所属25人。女性は5人で改選前より1人増えた。
◇石巻市議選 開票結果(30-43)(23日午前1時10分・選管最終)
当 2,756 山口荘一郎 45 無現(4)
当 2,473 西條 正昭 70 無現(6)
当 2,137 渡辺 拓朗 61 公現(6)
当 2,087 桜田 誠子 60 公現(6)
当 2,044 安倍 太郎 72 無現(5)
当 1,996 阿部 和芳 62 無元(6)
当 1,995 千葉 正幸 69 無現(2)
当 1,943 奥山 浩幸 58 無現(3)
当 1,941 後藤 兼位 67 無現(6)
当 1,905 佐藤 雄一 42 無現(3)
当 1,898 勝又 和宣 50 無新(1)
当 1,851 宇都宮弘和 46 無新(1)
当 1,838 木村 美輝 52 無新(1)
当 1,821 鈴木 良広 50 公現(2)
当 1,665 都甲マリ子 36 無新(1)
当 1,623 楯石 光弘 69 無現(3)
当 1,604 大森 秀一 68 無現(6)
当 1,597 阿部 久一 74 無現(5)
当 1,562 水沢冨士江 62 共現(6)
当 1,505 星 雅俊 67 無現(2)
当 1,470 高橋 憲悦 66 無現(3)
当 1,468 阿部 浩章 59 無現(3)
当 1,416 丹野 清 75 無現(6)
当 1,411 谷 祐輔 39 無新(1)
当 1,405 阿部 正敏 67 無現(4)
当 1,399 我妻久美子 43 無新(1)
当 1,348 原田 豊 42 無新(1)
当 1,306 斉藤 澄子 53 共現(2)
当 1,270 遠藤 宏昭 51 無現(4)
当 1,249 早川 俊弘 62 無新(1)
1,239 阿部欽一郎 74 無現
1,228 千葉 真良 69 立現
1,084 黒須 光男 75 無現
1,003 青木満里恵 67 無現
959 阿部 正春 67 無元
514 木村 紀斗 47 無新
473 市川 昌隆 43 無新
468 伊東 孝浩 52 無新
460 兼子 佳恵 51 無新
208 三浦 清一 68 無新
149 草島 真人 62 無新
77 豊沢幸四郎 60 無新
45 藤井 秀一 67 無新
<当選証書を授与>
石巻市選管は23日、市議選で当選した新議員30人に当選証書を交付した。
市議会議場で交付式があり、斎藤洋一委員長が得票順で証書を手渡し「市を取り巻く環境は厳しい。それぞれに掲げた目標を達成できるよう頑張ってほしい」と呼びかけた。
最多得票の山口荘一郎氏(45)は取材に「慢心せず、大きな責任を感じながら新人の気持ちで取り組む。超高齢化の『2025年問題』や行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)を議論し、解決に導きたい」と語った。
最年少・都甲マリ子さん 少子化対策、当事者視点で
最年少候補者だった新人の都甲マリ子さん(36)は22日午後11時40分ごろ、当選が確実となり、石巻市開北4丁目の事務所で支援者と喜び合った。
妊娠8カ月で勝ち取った当選だった。出産も選挙も初めての経験。身重での出馬には否定的な意見もあった。不安を抱えながら迎えた選挙戦だったが、当事者として訴えた少子化問題などが有権者に響いた。
東日本大震災のボランティアをきっかけに市内に移住し、演劇や文化活動に取り組んできた。「よそ者で、妊娠中でも応援してくれた。石巻の人たちのビジョンが分かったのも一つの成果」と感謝した。
出産予定は7月。「少子化対策を期待されていると思う。子育てをしていく一人として、リアルタイムで声を拾い上げていきたい」と先を見据えた。
支援した一人で、昨年の市長選や知事選に出馬した医師の長純一さん(55)は「仕事と子育てを諦めることなく両立できる石巻にするため、頑張ってほしい」と期待した。
新人トップ・勝又和宣さん 発信力磨き、風吹かす
新人トップの得票で当選した勝又和宣さん(50)は、石巻市のぞみ野5丁目の事務所で、支持者とともに万歳。「市民の声を聞いて回り、石巻を誇れる町にしたい」とあいさつした。
市議選は2度目の挑戦。「前回はあと一歩だった。今回は告示日の今月15日が誕生日で、気合が入った」という。選挙戦では行動力をアピールし、市民と行政が連携するイベントづくりなどを訴えてきた。
勝又さんは「コミュニティーの形成や経済の活性化など課題は多い。発信力を磨き、石巻にいい風を吹かせる」と意気込んだ。
新人2位・宇都宮弘和さん 公約、必ず実現する
新人2位で当選した宇都宮弘和さん(46)は22日午後11時半ごろ、石巻市小船越の事務所で支持者の拍手に迎えられ、深々と頭を下げた。
今期限りで引退する現職で元副議長の高橋栄一さん(72)の後継として組織を固め、地元の河北地区の全世帯を訪問。小中学校の同級生が支持拡大に動き、役員を務める運送会社関連の票も集めた。
マイクを握った宇都宮さんは家族や集まった支持者それぞれに感謝を伝え、「公約は必ず実現する。選んで良かったと思ってもらえる人間になる」と誓った。
新人・我妻久美子さん 女性視点を市政に
新人の我妻久美子さん(43)は23日午前0時半ごろ、石巻市須江の事務所前で、支持者や駆け付けた斎藤正美市長らと万歳。「皆さんのおかげで当選できました」とあいさつし、初当選の喜びを分かち合った。
小学生と高校生3姉妹の母。育児と地域活動の経験から、子育て支援や福祉の充実を図ろうと昨年9月に立候補を決めた。須江のバイオマス発電所計画反対では運動の先頭に立った。地元の河南地区を丹念に回り、支持拡大に努めた。
「女性の視点や子育て世代の声を市政に反映させていきたい」と抱負を語った。
最年長・丹野清さん 活力ある街つくる
6期連続、最年長で当選したのは丹野清さん(75)。23日午前0時すぎに石巻市渡波町の事務所に姿を見せ、「皆さんの力で支えていただき、一票一票積み重ねてもらった」と感謝した。
43人が立候補した今回は新人候補が台頭した。「丹野さんは大丈夫と言われたが、安心ムードが漂うと票が流れる。大変な選挙になると思った」と振り返る。
旧市から26年市議を務め、東日本大震災後も地元の声を市政に届けてきた。「4年間やるべき仕事はたくさんある。活力のある街を皆さんと共につくりたい」と決意を新たにした。