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しょくば拝見>ウナギ、食肉卸小売業 杉山商店(石巻市千石町)

職場の和を大切にしているという杉山社長(前列左から4人目)と従業員ら

<顧客の要望、細かく対応>

 石巻市の北上川や追波川、万石浦ではかつて、ウナギがたくさん取れた。創業時はウナギ専門で、漁師から仕入れて主に東京向けに卸した。市内には当時、ウナギを卸す店が5、6軒あったという。

 昭和30年代後半には地元ではウナギが取れなくなったが、市内の料亭などに卸すため事業を継続した。ウナギが売れない冬場をしのぐため、当時は冬の商材だった鶏肉も扱い始めた。

 現在はウナギと食肉全般、鶏卵、食肉加工品を扱い、市内外の飲食店や精肉店に提供する。平成に入ってから店頭での小売りも本格的に始め、ウナギの白焼きや串打ちした焼き鳥などを販売する。

 強みは対応力。毎日届く顧客の注文を受け、肉の大きさや切り方を調整する。スライス以外は手作業が多く、午前中から従業員がせわしなく動く。杉山勇治社長(73)は「市内の精肉店も昭和のころの半分くらいになった。生き残っていくためにも顧客の要望にはできるだけ応えていく」と話す。

 売り上げの5割ほどを占める飲食店向けは新型コロナウイルス感染拡大の打撃を受ける。落ち着きつつある最近の感染状況に「今度こそは需要がしっかり戻ってほしい」と願う。

 ウナギは近年、価格が高騰しているが、土用の丑(うし)の日の売り上げはそれほど落ちていないという。丑の日に生まれたという杉山社長は「ウナギに携わっている者として、食文化を守っていきたい」と語った。

■会社概要
 杉山社長の父梅治さんが1948年、石巻市中瀬で創業した。従業員は20~70代の20人。石巻市と東松島市の学校給食にも食肉を提供する。資本金400万円。石巻市千石町2の13。0225(93)7777。

うなぎ・食肉の杉山商店

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