戊辰戦争探る 石巻で講演、新選組ファン来訪 足跡や悲話解説
元石巻市教育長で市芸術文化振興財団理事長の阿部和夫さん(83)が10日、市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)で戊辰戦争と石巻の関わりについて講演した。新選組の足跡をたどる2泊3日の歴史探訪ツアー「仙台・石巻折浜から蝦夷地・鷲ノ木へ」(読売・日本テレビ文化センター主催)の一環で、兵庫県から北海道まで計45人のファンが参加した。
石巻では新選組副長で旧幕府軍指揮官の一人、土方歳三が物資を艦隊に運ぶ段取りを付け、榎本武揚らと旧幕府艦隊が牡鹿半島の折浜から北海道へ向けて出航した。
阿部さんは新政府軍が迫り、石巻が戦場になる危機を恐れた仙台藩の要請で、石巻の豪商毛利屋理兵衛が旧幕府軍に膨大な物資を提供したことや、民間部隊の「からす組」隊長の細谷十太夫が石巻弁の通訳をした逸話、少女の目の前で旧幕府軍150人が処刑された悲話などを紹介した。
阿部さんは「ローカルの歴史を個々の地域で掘り起こすことで戊辰戦争の全体像が見えてくるのではないか」と述べた。
土方の子孫で土方歳三資料館(東京都日野市)の館長土方愛(めぐみ)さん(50)との対談もあり、土方さんは「埋もれていた歴史を一つ一つつないでいくことが大事。新選組ファンとして、たくさんの人に語っていきたい」と話した。
一行は兵士の訓練が行われた日和山や阿部さんの案内で出航の地・折浜を見学した。
阿部さんは「戊辰戦争と仙台藩~その時、石巻では~」(三陸河北新報社刊)の著書がある。