都市対抗野球 女川出身のJR東北・鈴木外野手、古里思い活躍誓う
社会人野球・JR東日本東北(仙台市)の鈴木聖歩(せいふ)外野手(25)=女川町出身=が、7月に東京ドームで開かれる「第93回都市対抗野球大会」を心待ちにしている。チームは10日に幕を閉じた東北大会(山形市など)で代表権を獲得。「自分の活躍で女川の名前を多くの人に知ってもらいたい」と貢献を誓う。
鈴木は女川一中(当時)2年の時、体育館で卒業式の準備中に東日本大震災に遭った。高台の自宅は無事だったが、祖母の家や父の会社が被害を受けた。その後、東北高、桐蔭横浜大(神奈川)を経て2018年、JR東北に加入。主軸打者へと成長した。
在籍4年目の今季は腰のけがもあり、状態を見ながら試合に出場。「調子は良くなかった」と話すが、東北大会5試合で打率3割6部8厘、2本塁打、7打点の成績を残し、持ち味の打撃力で存在感を示した。
鈴木にとって東京ドームは相性のいい舞台。19年の初戦で3安打、昨年は開幕戦に登場し、前年王者のホンダを破る勝ち越しの2点本塁打を左中間スタンドにたたき込んだ。「応援がすごく、何でもできそうな気がしてくる」と会場の雰囲気を語る。
ドーム出場時には女川一中時代の同級生が東京まで駆け付けている。「今回もやってくれよ。楽しみにしてるとエールをもらった。コンディションを万全にしていいところを見せたい」と意気込む。
地元の女川には正月などに帰省し、現状を確かめる。「行くたびに新しい景色が広がり、復興が進むうれしさはあるが、以前の町ではないことにどこか寂しさも感じる」と話す。
日本一に向け「企業と地域の看板を背負って戦うが被災地(女川)代表でもある。そのことを忘れずにバットを振る」と鈴木。野球好きな父に「セーフ」と名付けられたように、常に先の塁と目標へ突き進む。
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