デスク日誌(6/18):とよと耳

 「ピッピッ」。時を選ばず流れるテレビのニュース速報。気付くと、つい声を出してテロップを読んでしまう。若手の頃、「周囲にも知らせろ」と受けた指導は身に染み付いている。

 幼少期、「ながら族」は好ましくないと育てられた。だが就職後、ニュースを聞きながらの原稿執筆などは当たり前に。情報入手や取材漏れ防止のためのいわば安全網だ。そして今、その最たる職場にいる。

 フロアに並ぶテレビ。通信社の独特の連絡音声も新たな事案や配信見通しを次々と伝える。国内外のニュース原稿を選び渡す担当の日は特に、ゾウやウサギのように耳を澄ます。締め切り間近の時間帯に動きがあれば、一瞬の重みが違う。同じ通知は紙でも届くが、より良い紙面を読者に届けるため神経はフル回転だ。

 とはいえ原稿確認や相談で忙殺されると、連絡音声が聞こえないことも。逆に日没に間に合った先日の知床観光船引き揚げの写真連絡は、はっきり聞こえた。なぜ違うのか自分のことながら不思議。ただ、10人の話を一度に聞き分けたという「豊聡耳(とよとみみ)」の聖徳太子に程遠いのは明らかだ。うっかりせず謙虚に励もう。
(整理部次長 松田佐世子)

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