外国人旅行者受け入れ、2年2カ月ぶり再開 戦略的施策求める声も 石巻地方
新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断していた訪日外国人旅行者(インバウンド)の受け入れが10日、約2年2カ月ぶりに再開し、石巻地方の事業者からは期待や歓迎の声が上がった。コロナ前からインバウンド誘致は課題で、環境整備や誘客に力を入れる。
「外国人客は消費金額が大きく、経済効果が期待できる。石巻地方も乗り遅れないよう準備していかなければいけない」。一般社団法人「石巻圏観光推進機構」の代表理事を兼ねる石巻観光協会の後藤宗徳会長は、表情を引き締める。
当面、1日当たりの入国者数の上限は2万人で、感染リスクが低いとされる98の国・地域からの添乗員付きパッケージツアーに限られる。政府は段階的に条件を緩和する方針で、石巻地方への来訪者が増えるのは「夏の終わり以降ではないか」とみる。
案内の多言語化などを課題に挙げ「まだまだ整っていない面もある。受け入れ環境の整備を急ぎたい」と言う。
バリュー・ザ・ホテル東松島矢本(東松島市小松)の元支配人で、運営会社「ポラリス・ホールディングス」(東京)の阿部聡儀さん(30)は「追い風だが、待っているだけでは石巻地方には来てくれない」と語る。
コロナ前、独自に台湾の旅行業者に営業へ出向いたり、ユーチューバーを招いたりと誘客に注力。台湾や香港の団体旅行客が年間約2000人宿泊していた。「連携してキャラバン(旅行エージェント訪問など)を行うといった戦略的な取り組みが必要ではないか」と提案する。
10月には石巻市の石巻港に3年ぶりに外国客船が入港する予定。これまで入港に合わせて日本文化の体験プログラムを提供してきた市中心部の事業者も再開を歓迎する。
乗客に着物を着て市街地散策を楽しんでもらっていた「かめ七呉服店」(石巻市中央2丁目)の米倉絹枝さん(72)は「石巻での時間を楽しんでもらいたいと取り組んできた。にぎわいづくりに協力したい」と話す。