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伝統文化学び心育む 礼儀作法や茶道、百人一首も 石巻小

ふすまの開け方を習う3年生

 石巻市石巻小(児童279人)は、日常生活に息づく伝統文化に着目し、礼儀作法や風呂敷の扱い方などを習得させる教育活動を展開している。全校で体系的に取り組むケースは珍しく、形から入る伝統文化の学習が定着し、ごく自然な形で身に付いている。子どもの将来を見据えた実践は「心を育む教育」の手だてとして注目されそうだ。

 石巻小は学校独自の「かしわタイム」を設定し、各学年が年間4時間、礼儀作法や百人一首、伝統文化を学ぶ。礼儀作法は黙想や立礼の仕方などで、伝統文化は1、2年生が折り紙、5年生が風呂敷、6年生が茶道を体験する。立礼はきちんと立ち止まって相手の目を見てあいさつする。

 年4回の「伝統文化週間」期間中に各クラスが1時間ずつ実施する。6月6日は、3年1組(24人)が和室でふすまの開け方と閉め方の授業をした。児童たちは背筋をぴんと伸ばして正座し、静かに、そして丁寧な所作で取り組んだ。

 伝統文化に関心を持ってもらうため、月1回程度の「言の葉タイム」も設ける。古典文学作品の動画を視聴し、感想をタブレット端末に書き込む。百人一首かるたの対戦も行う。

 遠藤智弥教務主任(46)は「黙想や立ち止まってのあいさつができる児童の多くは落ち着きや集中力があり、場をわきまえて行動できるようになっている」と心を育む活動の成果を語る。

 同校は2005年度から6年間、校内研究で伝統文化教育を取り上げ、国立教育政策研究所からモデル校(05~08年度)に指定された。全校で体系的に取り組む活動は校内研究終了後も継続している。

 とりわけ礼儀作法は学習や生活の基礎・基本になるとして、05年に「礼儀作法指導指南書」を学校独自で作成。教員が系統的な指導の共通理解を深めるために活用している。

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