参院選福島、復興論戦は低調 浜通りの有権者から不満も

海を望む福島県浜通り地方を走る選挙カー。「復興論戦」は低調だ(画像の一部を加工しています)=6月28日、福島県浪江町

 参院選(7月10日投開票)の福島選挙区(改選数1)で、東京電力福島第1原発事故からの復興を巡る論戦が盛り上がっていない。山積する課題にどう向き合うか、対立軸はあいまいで、不満を漏らす有権者も。6月28、29日に相次いで福島県浜通り地方に入った与野党新人候補の遊説を追った。

自民・星氏、医療の充実前面

 「被災地医療を充実させ、地域を次世代につなぐ。具体的にプランを示し、皆さんと一緒に考えながら実現したい」。28日に沿岸部を回った自民党新人で総合病院理事長の星北斗氏(58)は、地域医療の充実を住民帰還の呼び水にする考えを各地で披露した。

 医療は高齢世代には切実な問題。現役世代にとっても、産婦人科や小児科がない地域での子育ては難しい。復興庁が昨年度に実施した浜通り地方6市町村の住民意向調査によると、避難住民の「帰還を判断するために必要な条件」は全ての市町村で「医療機関の拡充等」が1位だった。

 原発事故で避難指示が出た浜通り11市町村のうち、避難指示が解除された地域の居住人口は5月末時点で計1万5000人強で、住民登録者の3割程度にとどまる。住民帰還だけでなく、新たな移住や定住の促進も課題になっている。

無所属・小野寺氏、産業再生に注力

 立憲民主党などが推す無所属新人のフリーアナウンサー小野寺彰子氏(43)は29日、いわき市のショッピングセンターなどで街頭演説した。「原発事故で福島の美しい海と産業が失われそうになった。ネガティブなイメージの払拭や、なりわいの再生に力を入れたい」などと訴えた。

 消費者庁が2月に実施した被災地の農林水産物に関する風評被害調査によると、福島県産品の購入を「ためらう」と回答したのは6・5%。2013年時の19・6%から大幅に減少したが、復興の足かせとなっている状況は変わらない。

 昨年度の国の経済センサス活動調査(速報値)によると、県内の民営事業所数は8万619社で、原発事故前の09年比で約1万8000社減った。雇用の確保は復興の最重要課題で、特に浜通り地方の場合は原発に依存した産業構造からの脱却と新産業の育成は大論点だ。

 星氏は「教育や産業を医療とセットで充実させる長期的な政策を進める」、小野寺氏は「被災地を直撃している物価高や格差の是正に取り組む」とも訴えた。両者の主張を聞いた有権者の声はさまざまだ。

 楢葉町の建設現場で働く50代男性は星氏の訴えについて「医療の問題は確かに大事だが、もっと『浜通りの未来をこうしたい』という明確なビジョンを聞きたかった」と手厳しい。

 買い物帰りに小野寺氏の演説を聞いたいわき市の80代女性は「今回の選挙の争点が物価高なのは分かるが、いわきに来ているのに復興に関する話が少な過ぎる」と不満げだった。

 福島選挙区にはNHK党新人の皆川真紀子氏(52)、政治団体「参政党」の新人窪山紗和子氏(47)、無所属新人の佐藤早苗氏(62)も立候補している。

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