「ひとり親で貧しい子」「自死遺児はかわいそう」。そうした言葉に何度も傷ついてきた。
青森市の工藤春香さん(22)=仮名=は6歳の時、30代後半の父を自死で失った。大人たちからは同情され、小中高の同級生からはいじめられた。
小さな町で書店を営んでいた父は、休日には滝を見に連れて行ってくれたり、一緒にバッタを捕まえて遊んでくれたりした。優しい父親像が記憶に残る。
自ら命を絶った理由は分からない。ただ、仕事で悩みを抱え、うつ気味だったと後から聞いた。
母は保険会社に転職し、家計を支えるため必死で働いた。授業参観に母の姿はなかった。小学1年の参観日、周りは父親、母親と仲良くクリスマスの飾りを作る中、泣きながら担任と作業した。
「どうして私たちを置いて逝ってしまったの」。寂しさと同時に、父への怒りが湧くときもあった。
自死が家族に残す影響は身に染みている。辛いことが重なった際、自分の脳裏にも、ふと「自死」という選択肢がちらついた。「父と同じ道をたどったら、残された母はどうなるか…」。痛みが分かるからこそ、何とか踏みとどまった。
新型コロナウイルス禍で孤独・孤立の問題が深刻化し、経済状況は悪化した。経済的、社会的に弱い立場の人ほど影響は大きい。
青森県の自殺者が増えている。厚生労働省によると、2021年は284人で、自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は前年比4・1ポイント増の23・4。初の全国ワーストになった。
東北各県の自殺率は山形20・1、秋田18・8、福島18・7、宮城17・3と、いずれの県も全国平均16・5を上回る。岩手は16・2だった。
自殺対策基本法が施行されて今年で16年。工藤さんは「いくら国の対策で相談窓口が増えても、周囲の意識が変わらないと自死は減らない」と言う。
長年、自殺率がワーストだった秋田県は官民を挙げ、県民の意識改革を含め、自殺予防対策を推進。自殺率を減らしてきた。
だが、20年にわたり、自殺問題に取り組む秋田市のNPO法人「蜘蛛(くも)の糸」代表の佐藤久男さん(78)は「この先、コロナ禍の影響で自殺者は増える」と警鐘を鳴らす。
これまでの経験を踏まえ、行政主導ではなく、民間も連携して県民運動とする重要性を力説する。「われわれ一人一人の問題だと意識を変え、地道な支援を続けるほかない」
工藤さんは、自死や病気などで親を亡くした子どもたちを支える「あしなが育英会」(東京)の活動に参加。募金で街頭に立ち、社会に訴える。
「遺児であることが、差別やハラスメントの原因であってはいけない。自死は決して『自己責任』ではない」
(青森総局・今愛理香)
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