「地域の足」維持へ 石巻市職員、第4金曜日は公共交通で通勤 利便性の課題探る
人口減少などで運営が厳しさを増す地域公共交通の利用促進に向けた意識を醸成しようと、石巻市は職員が月1回、鉄道やバスで通勤する取り組みを22日に始める。大半がマイカー利用の職員が公共交通で通ってみることで運行ルートやダイヤの課題を探り、利用者増加に向けた方策を探る。
「公共交通チャレンジデー」と銘打ち、12月までの毎月第4金曜日に実施する。対象は保育士を除く行政職の一般職員計1054人。本庁舎や総合支所などそれぞれの職場にバスや鉄道で通勤するよう求める。
市は6月、対象者の普段の通勤手段を調査した。公共交通利用者は鉄道が108人、バスが6人の計114人で全体の10.8%にとどまった。市内居住者に限ると6.0%でさらに低かった。
最も多かったのは自家用車の690人で全体の65.5%を占めた。徒歩は166人で15.7%、自転車は64人で6.1%だった。
市はチャレンジデー終了後の来年1月、対象者にアンケートを実施し、実践した感想や課題を調査する。参加しなかった職員にも「出勤時間に間に合う便がなかった」といった理由を聞き取り、交通体系の改善点の把握に生かす。
市は3月、地域公共交通の維持に向けて市総合交通計画(2022~26年度)を策定した。チャレンジデーは過度のマイカー利用から公共交通への転換を図る「モビリティーマネジメント」の一環として盛り込んだ。
計画によると、市内の通勤者は8割近くが自家用車を使う。企業や施設の2割は事故の危険性低減や社会貢献の一環で従業員のマイカー通勤を抑えたいと考えているという。
市地域振興課の担当者は「まずは市役所が率先して取り組み、来年度からは民間にも声掛けして市全体で取り組みたい」と語る。