深夜の大雨に緊張、避難所開設 冠水や落石 JR、終日運転見合わせ 石巻地方
石巻地方は15日夜、前線や暖かく湿った空気の影響で大気の状態が不安定となり、16日午前にかけて大雨に見舞われた。土砂災害や洪水の危険が迫り、関係市町や住民らには緊張が走った。
東松島市付近では15日深夜、1時間に約100ミリの雨が降ったとして、気象庁が記録的短時間大雨情報を発表。県と仙台管区気象台は石巻、東松島、女川の3市町などに土砂災害警戒情報を出した。
石巻市は15日夕、土砂災害の危険があるとして、稲井、桃生、河南3地区の一部地域に避難情報「高齢者等避難」を発表。16日午前0時には3地区と湊、雄勝、北上、河北の計7地区の一部地域に避難指示を出した。避難所は7カ所開設し、最大で13人が避難した。
東松島市は16日朝、吉田川の水位が上昇し氾濫の可能性があるとして、浅井、中下、川下、上下堤4地区の全域に高齢者等避難を発表。避難所は3カ所開設し、2カ所に最大17人が身を寄せた。
各地で冠水被害が相次ぎ、東松島市宮戸の県松島自然の家周辺では、落石や県道脇の斜面が崩落する被害があった。熊谷一彦次長(51)は「冠水は今までもあったが、ここまでの土砂崩れは記憶にない。利用者に被害がなくてほっとしている」と話した。石巻市では床上、床下浸水などの情報が寄せられ、女川町では国道398号が通行止めとなった。
仙台管区気象台によると、16日正午までの24時間降水量は石巻市139.5ミリ、石巻市雄勝129.0ミリ、女川町148.5ミリ。
JR東日本仙台支社は、石巻線小牛田-女川と仙石東北ライン仙台-石巻、仙石線東塩釜-石巻間の運転を終日見合わせた。
海開きにも影響
東松島市の月浜海水浴場で16日、シーズン中の無事を願う安全祈願祭があった。コロナ禍を乗り越え3年ぶりの再開となったが、遊泳開始については、市内で大雨被害があったことなどを考慮し、17日以降に延期した。月浜と同じく海開きを予定していた石巻市の十八成浜海水浴場も17日以降に延期。東日本大震災後初となる海開きは水を差された形となった。
月浜海水浴場では、月浜自治会などの関係者約20人が神事を行い、海水浴場での無事故とにぎわいを祈った。
震災後初の開設となる東松島市の野蒜海水浴場は20日に海開きが行われる。石巻地方では今季、6カ所で開設されるが、新型コロナウイルスの影響で3年ぶりとなる海水浴場も多く、関係者は浜に多くの人出が戻ることを期待している。
17日以降に開設される十八成浜海水浴場は震災の津波で甚大な被害を受け、砂浜が地盤沈下で消失。復興事業で防潮堤を内陸側に移設し、その海側に約9400平方メートルの砂浜を再生。当初は2020年夏に再開する計画だったが、新型コロナの感染拡大で市は全ての海水浴場の開設を中止していた。
海水浴場の脇には新たに整備した「十八成浜ビーチパーク」がある。あずまやの下にテーブルと椅子が並ぶ休憩棟、バーベキューができる広場、トイレ棟、シャワー棟が配置され、海でのレジャーを楽しめる。
各海水浴場の開設期間は次の通り(震災後に休止が続く石巻市の荒浜海水浴場は今夏も開設を見送る)。
▽十八成浜、月浜(7月17日以降~8月21日)
▽石巻・網地白浜(7月22日~8月21日)
▽野蒜(7月20日~8月21日)
▽石巻・渡波、白浜(7月23日~8月21日)