イスラム文化の交流拠点に 礼拝所「モスク」が完成、石巻地方初
石巻地方で初となるイスラム教徒(ムスリム)の礼拝所「モスク」が、石巻市松原町に完成した。市内のムスリムらでつくる一般社団法人「石巻イスラム文化センター」が運営する。ムスリムの心のよりどころとなるだけでなく、市民がイスラム文化に親しみ国際交流を育む場にもしていく。
「石巻モスク」と名付けられた礼拝所はプレハブ平屋約66平方メートル。天井の中央がドーム状の伝統的な造りになっている。
石巻地方では、インドネシアなどから技能実習生として来日したムスリムが多く暮らす。1日5回の礼拝の他、金曜には特別な集団礼拝があり、片道3時間かけて仙台市内のモスクに電車で通う実習生もいるという。
市内で建設会社を営むバングラデシュ出身のソヨド・アブドゥル・ファッタさん(51)が4年ほど前からモスク整備を計画。実習生が自転車で通いやすい松原町を建設地に選び、地元自治会や企業を回って理解を得た。3月に着工し、ソヨドさんが仕事の合間にこつこつ作業し完成させた。
2日に落成式が現地であり、ムスリムや建設に協力した市内の外国人支援団体「国際サークル友好21」のメンバーらが完成を祝った。運営団体の代表理事を務めるソヨドさんは「頑張っている実習生たちのために礼拝できる場が必要だった。皆さんの協力のおかげで完成できた」とあいさつした。
漁船乗組員として働くインドネシア出身のアアン・クナエピさん(30)は「これからはみんなで集まって一緒にお祈りできるのがうれしい」と話した。
将来的にはモスクの他、戒律に従ったハラル料理の食材店やレストランを併設した4階建ての施設建設を目指すという。ソヨドさんは「宗教に関係なく自由に訪れ、食事をしたり本を読んだりとゆっくりできる場所をつくりたい」と語った。