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ウニの味、餌で違う! キャベツなど4種類与え食味実験 宮城水産高

餌の違いで生育具合や味を確かめる生徒ら

 宮城水産高で26日、キャベツなど4種類の餌を与えて育てたウニの食味実習があった。生徒たちは餌によって味に微妙に違いが出ることを実感。産官学で進むウニの低コスト型陸上養殖への挑戦を後押しする成果に、学校は新たなステップへの手応えをつかんでいる。

 県漁協寄磯前網支所の協力を得て、石巻市前網浜沖で5月下旬に採取したキタムラサキウニ200個を同校栽培漁業実習場の畜養プールに移し、生物海洋類型3年の18人がキャベツ、白菜、ホヤ、昆布の4種類の餌を、それぞれ50個ずつのウニに与えて約2カ月育てた。

 試食は全員で行い、4パターンの成長具合と味を確かめた。その結果、いずれの餌で育てた場合でも成長はよく、味はキャベツが一番甘みが強く、人によっては苦手な磯臭さがほとんどなくなった。

 白菜はウニの食味は残るものの、野菜の風味をやや強く感じた生徒が多かった。ホヤは、ホヤ独特の苦みが強くなり、磯の風味も一段と増した。昆布はウニの味を良くすることで知られており、予想通りうま味が強まった。

 味見を終えた菊地陸斗さん(18)は「どれもおいしい。ホヤは苦みが増し、敬遠する人がいる半面、磯の香りが好きな人には癖になる味かもしれない」と感想を話した。

 指導した鈴木秀一主幹教諭は「今後は餌の組み合わせを工夫したり、農業高校と協力し、廃棄に回さざるを得ない野菜を活用したりして、SDGsも意識した実験、取り組みを模索したい」と方向性を示した。

 ウニをキャベツなどで育てる実用実験は、石巻市でも進められている。宮城大と協力し塩蔵ワカメ、キャベツ、乾燥コンブなど5パターンに分けて餌を与えた再生可能エネルギーを活用した低コスト型陸上養殖。3月の試食会でも好評を得た。

 宮城水産高での今回の取り組みは、実用化に向けて実験的取り組みの裾野を広げるものとして、今後の成果が注目される。

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