河北春秋(8/6):きょうは広島原爆の日、投下から77年とな…

 きょうは広島原爆の日、投下から77年となる。ウクライナに侵攻したロシアが核兵器の使用をちらつかせ、核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が開かれている中で迎えた8月6日である▼爆心地の近く、平和記念公園にある原爆慰霊碑は70年前、1952年のこの日に除幕された。死没者名簿を納める石室に刻まれた横書き3行21字の碑文は、主語を巡る論争を巻き起こした▼「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」。英文学の広島大教授だった雑賀(さいか)忠義氏が撰文(せんぶん)、揮毫(きごう)した。3カ月後、訪れたインドの法律家パール博士は異を挟む。「原爆を落としたのは日本人ではない」▼自らも被爆した雑賀氏は反論した。「広島市民であるとともに世界市民であるわれわれ」が誓っている、「良心の叫びである」、主語は全人類だと。是か非か。論争は広がり長く続いた。広島市は83年、「すべての人びとが」「誓う言葉」だとの説明板を設置した▼その慰霊碑に2016年、当時のオバマ米大統領が献花した。米国への怨讐(おんしゅう)を乗り越え、握手し「核なき世界に向けて頑張ろう」と話しかけたのが、被爆者の坪井直(すなお)さんだった。核の惨禍と廃絶を訴え続け、人類の幸せを願い、昨年10月に96歳で亡くなった。改めて遺志を刻む夏、新盆である。(2022・8・6)

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