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JR石巻駅・マンガッタンカフェえき、19年半の歴史に幕 今月末閉店

19年間の営業を終え、8月いっぱいで閉店する「マンガッタンカフェえき」と石川社長

 2003年、JR石巻駅に開業した珈琲(コーヒー)工房いしかわの「マンガッタンカフェえき」が、今月31日をもって19年半の営業の幕を閉じる。利用客からは「漫画の街・石巻の玄関口にふさわしい店だったので残念」と惜しむ声が出ている。休業の前にお別れイベントも企画するという。

 店は03年1月、仙石線の車両に故石ノ森章太郎さんの漫画キャラクターを描いた特別快速列車「マンガッタンライナー」の運行開始に合わせ、駅と協力する形でオープン。駅舎外、構内両側に入り口があり、店内からはホームが見え、列車の出入りを見ながらコーヒーを味わえる店として市民はもちろん、観光客、鉄道とマンガファンなどから幅広く愛されてきた。

 東日本大震災後、駅周辺の人口減少に加え、駅利用客も右肩下がりの中、新型コロナ禍による観光客、帰省客の激減から休業を判断した。

 利用客は「学生時代は上京の前、帰省したときに必ず寄った。多くの思い出が詰まった場所」と話す。震災で被災したが1カ月後に再開。その日に入店したという人は「駅は被災していない場とつながっているという安心感があり、そこで飲む温かいコーヒーに癒やされた。私の復興の原点」と振り返る。

 石巻駅から中瀬の石ノ森萬画館までのマンガロードに設置されている、石ノ森漫画の人気キャラクターのモニュメントは、1999年の設置開始以来、30体に増加。ロードの起点に構える店は漫画の街発信の一翼を担ってきた。

 珈琲工房いしかわの石川光晴社長(67)は「漫画の街へいざなう場としての役割は十分に果たしたと思う。北上川河口付近での営業など、新たな店舗展開を考えている」と言う。

 珈琲工房いしかわは、2001年、市が募ったチャレンジショップに応募し同市立町で開業したが震災で閉店を余儀なくされた。その後、石巻市役所庁舎内を経て、現在は同市北村に本店を構える。このほか市内には上品の郷店、マルホンまきあーとテラス店がある。さらに仙台市にS-PAL店と、3日には新たに仙台卸町店がオープン。石巻と仙台をコーヒーの香りで結んでいる。

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