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しょくば拝見>食品卸・小売業 十文字屋(石巻市中里5丁目)

卸売業とネット通販事業で挑戦を続ける吉人会長(前列左から3人目)、大樹社長(同4人目)と従業員たち

<ネット通販に挑み、成長>

 業務用の冷凍水産物を主に卸売りする。問屋や商社、メーカーなどさまざまなルートで仕入れたエビやカニ、貝類、魚類のほか、食油や洗剤も扱う。石巻地方を中心に県北や仙台市、岩手県南部の居酒屋や食堂、仕出屋など約300社と取引し、地域の食産業を下支えする。

 東日本大震災では本社や冷凍庫が浸水し、多くの商品の廃棄を余儀なくされた。10台あった配送用車両も半数が使えなくなったが、設備には被害がなく、約1カ月後に事業を再開した。

 復興需要もあって売り上げは順調に回復していたが、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受ける。円安や物価高の影響も大きい。田岡吉人会長(69)は「長年商売をやってきたが、今が一番大変。でも、変化にどう対応するかが商売の面白さ」と前を向く。

 苦境の中で経営を支えるのがインターネット通販事業だ。卸売業に続く事業を育てようと田岡大樹社長(43)が発案し、2015年に始めた。コロナ禍の巣ごもり需要も追い風になり、現在は全体の売り上げの5割ほどを占めるまでに成長した。

 卸売りで扱う冷凍水産物から始めたが、徐々に商品の幅を拡大。現在は牛タンが最も売れているという。昨年からは「楽天市場」のリーダー店舗に選ばれ、経験の浅い他店舗に運営のポイントを伝える。7月に就任したばかりの田岡社長は「新しい挑戦をしなければ衰退する。身の丈に合ったチャレンジを続けたい」と語る。

■会社概要
 女川町で1957年に創業。当初は食品小売りと漁船への仕込みを手がけた。77年に法人化。81年に販路拡大で石巻市に社屋と冷凍、冷蔵庫を構え、89年に本社も移転した。中里地区に本社と配送センターなど3拠点がある。従業員は10~50代の12人。資本金1000万円。石巻市中里5丁目11の12。0225(96)5658。

十文字屋

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