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全国高校野球、仙台育英V 初の白河越え 石巻地方も歓喜

 第104回全国高校野球選手権大会の決勝が22日、甲子園球場(兵庫県西宮市)であり、仙台育英が下関国際(山口)に8-1で勝利。東北の地に初めて優勝旗が渡り、「白河の関越え」が果たされた。球児たちが躍動する姿に多くの人が感動。石巻地方でも喜びの声が広がった。

 試合は仙台育英の試合巧者ぶりが目立った。0-0の四回1死三塁から主砲の斎藤陽の適時打で均衡を破ると、五回にも2点を追加。七回には5番岩崎の満塁弾などで粘る下関国際を突き放した。投げても斎藤蓉、高橋の継投が決まった。

 聖地で実力を発揮する後輩の姿に野球部OBの喜びもひとしおだ。1977年夏の大会に二塁手として出場した石巻市雄勝地区出身の山下静夫さん(62)=仙台市宮城野区=は「本当にすごいことだ」と後輩たちの偉業を祝福した。

 チームには夏の全国1勝に苦しみ、初戦敗退が続いた時代があった。山下さんも1回戦で敗れた。卒業後、亜大や社会人野球の専売東北(JT)で活躍した山下さんは「子どもたちのパワーや技術力が格段に上がっている。よく頑張った」と拍手を送った。

 2010年に主将として甲子園に出場した井上信志さん(30)=石巻中出=は石川整骨院(仙台市)などで修業に励んでいる。「球数制限などの時代に合ったチームづくりができていた。育英の野球が、これからのスタンダードになるかもしれない」と話した。

 井上さんの同期で遊撃手の日野聡明さん(29)=万石浦中出=は「100年開かなかった優勝という扉を開けてくれたことに感謝。これからもチャレンジ精神や宮城は強いんだという気持ちを忘れずに努力を続けてほしい」とたたえた。

 東北の全高校球児の悲願が達成され「次は自分たちの番だ」と石巻地方の選手も刺激を受けている。

 県大会の準々決勝で育英と対戦した日本ウェルネス宮城高(東松島市)の野球部の多くは、寮に集まり試合を見届けた。

 矢本二中出身の三浦真之介投手(2年)は「育英は守備が堅実で投手もそろい、点を奪うのが難しい。刺激を受けたが、もし自分たちが県大会で勝っていたら、という悔しさもある」といい、秋の県大会に向け「打倒育英という気持ちは強い。対戦する際は必ず勝ちたい」と王者への雪辱を誓った。

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