震災の教訓、当事者が発信 県内語り部プロジェクト始動 石巻・伝承館
公益社団法人3・11みらいサポートの県内語り部プロジェクトが13日、石巻市南浜町の「みやぎ東日本大震災津波伝承館」で始まった。山元町の「やまもと語りべの会」の高橋健一さんが、今までの活動を紹介した。
高橋さんは震災当時、同町山下中教諭で、同校が避難所となり運営に参加、被災者支援に尽力した。12年に防災士の資格を取得。現在は、語り部として震災遺構中浜小のガイドなど、幅広い活動をしている。
高橋さんは避難所の在り方を「ボランティアを入れず、被災者代表で運営する。小さな集団でコミュニケーションを図り、居住と活動の両空間も分ける」と被災者の自主性と心の安定を重視する点を指摘。避難所の位置付けについて「多くを失った被災者が自立の準備をする場であり、災害後しばらくは地域全ての被災者支援の拠点だ」と述べた。
現在の語り部活動と防災への考えについては「教訓を正しく理解する。災害が多発する現代、防災の心構えを『モシモ型』から、常時備える『イツモ型』にシフトさせる必要がある」と助言した。
本年度プロジェクトは来年3月までに18回を予定。会場は全て同伝承館で、いずれも午後1時から。次回は9月10日、大川伝承の会(石巻市)の永沼悠斗さんが講師を務める。以降は3・11みらいサポートのホームページ(HP)で確認できる。
伝承館では31日まで「3・11現場の真実×心の真実 結(ゆい)~消防・命のプロが見た東日本大震災」と題した企画展を行っている。
震災後、津波被災現場の最前線に立った仙台市消防局若林消防署員が11年5月~7月に書いた手記、活動記録のパネル、救援隊員へのインタビュー映像などを展示している。