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しょくば拝見>旅客自動車運送事業 南三陸観光バス(石巻市大森)

日々徹底したメンテナンスや体調管理を行っている山田社長(左から3人目)ら従業員

<現場の声、利便性に反映>

 貸切観光バス事業のほか、スクールバスや住民バスの運行、企業の送迎などを行う。「道路がつながっている所ならどこへでも」と山田広康社長(56)が語るとおり、県内はもちろん全国各地へとバスを走らせている。

 事業には車両の点検整備や乗組員のアルコールチェックなどさまざまな義務が課されているが、それらに加え声掛けを通してドライバーの体調面に気を配るなど、安全運転を徹底する。

 単独で業務にあたる運転手の間には情報交換を行う風土が根付いている。乗客の利便性を第一に考えたドライバー一人一人の自主的な取り組みだ。現場だからこそ見える改善点を社全体で共有するなど意見を提案しやすい環境が育まれている。

 東日本大震災当時、雄勝公民館の屋上に乗り上げた同社のバスの姿は津波の威力を物語っていた。震災を広く発信しようと、顧客から提案された観光プランに修正を加え、より深く知ってもらえるルートを提案することもある。

 国内の観光客が増えて事業の最盛期を迎えたところに新型コロナウイルスの流行がぶつかった。昨年末からのオミクロン株感染拡大では1~3月の観光バスの仕事がほぼゼロに。会社にかかってくるのはキャンセルの電話だけという状況に「ズシンときた」と山田社長は振り返る。

 業界の現状は厳しいが、事業はコロナ禍の収束後を見据える。今後は既存の業務に並行して、いずれ増えるインバウンドに向け取り組んでいく構えだ。

■会社概要
 1986年に設立、翌年に貸し切りバス事業として認可された。従業員は運転手や事務員合わせて44人。バスは大型や小型など32台。優秀安全運転事業所表彰では2018年に銀賞、今年金賞を受賞した。東日本大震災では津波でバス13台が流された。資本金1000万円。石巻市大森新大土1。0225(62)3088。

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