新津波想定受け討議 石巻で学校防災フォーラム 複数の避難ルート確保を
石巻市教委が主催する本年度の学校防災フォーラムが8月4日、同市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)で開かれた。県が公表した最大級の津波浸水想定を受けて行われたパネル討議では、経験に縛られない対応や複数の避難ルートを持っておくことが必要との考えが示された。学校の管理下を離れる子どもの避難について「地域の人の知見を生かすことが大切」と人材の発掘を求める提案もあった。
3~5メートルの浸水が想定される石巻市渡波中の阿部勇志校長は「校舎上階への垂直避難、校舎外への水平避難とも課題がある。収容人数は大丈夫なのか。水平避難する場合は、道路に囲まれた地域なので渋滞が予想される」と述べた。
青葉中の飯野泰志安全担当主幹教諭も「倒壊や火災の危険がある場合、校舎への避難は難しい。隣接する介護老人施設への避難も同様。高台もなく、海に向かって避難するのも現実的ではない」と厳しい現状を指摘した。
湊地区防災連絡協議会の蟻坂隆事務局長は「児童の在校時に津波が来たらどこに行けばいいのか。湊小の4階と屋上には避難者を収容できない。高台、吉野町の復興住宅が考えられる」と分散避難に言及した。
石巻市の内海明彦防災専門官は「避難はケース・バイ・ケース。柔軟に対応する必要があり、水平避難もあり得る」と語った。
土砂災害のリスクを伴う高台への避難について、村山良之山形大大学院教育実践研究科客員研究員は「ここのルートは補強して崩れないようにするといった最善の対策が必要」と助言。
「地域防災連絡会の話を防災担当部局につないで地域防災計画に避難場所を位置付けてもらうなど、地域の知恵袋を使ってほしい」と促した。
市内外の小中学校教員や地域の学校防災関係者ら約200人が参加した。静岡大教育学部の藤井基貴准教授が「脅さない防災・考える防災・伝える防災」の題で講演したほか、石巻市の鹿又小と北上小、青葉中の児童生徒が復興・防災マップの取り組みを発表した。