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特集>石巻好文館高 創立110周年 「深く」「広く」学習意欲後押し

学習環境が整い、学びの意欲を喚起する新校舎。甲斐ある人の育成を目指す石巻好文館高の教育は未来に向けて輝きを増す
20人が授業を受けられる選択教室で英語を学ぶ生徒たち

 石巻好文館高(加賀谷亮校長、生徒572人)は14日、創立110周年記念式典を開く。校名の変更と校地の移転を経ながら石巻地方の女子教育の拠点校として発展。2006年には男女共学化により石巻女子高から現校名に改め、新たな学校づくりの第一歩を踏み出した。

 卒業生は約2万6000人を数え、各分野に優れた人材を輩出してきた。校是は校歌の一節にある「甲斐(かい)ある人と言はれなむ」。社会の変化が激しい中、地域、社会に貢献する人材の育成に力を入れる。

<自主的な校風、継承>

 「石巻町立石巻実科高等女学校」としてスタートした歴史を持つ石巻好文館高。旧石巻女子高時代から自由で生徒が主体となってさまざまな活動に取り組む校風は受け継がれ、男女は共に大切な仲間として認め合い、コロナ下でも生き生きとした学校生活を送っている。勉学と部活動に励む真摯(しんし)な姿は青春の輝きを放っている。

 生徒が企画運営した7月の文化祭では、ステージ発表で各クラスが多彩なダンスパフォーマンスを繰り広げ、大いに盛り上がった。

 石巻好文館高の魅力は自由闊達(かったつ)な校風に加え、全日制課程普通科として石巻地方で唯一「進学重視型単位制」を導入している点にある。多様な選択科目を設け、生徒が自分に適した学習ができるようにすることで、広い視野と豊かな知性を養ってもらう。

 基礎科目としての英語と数学は1年次から少人数制授業を展開し、個に応じたきめ細かな指導をする。3年次には、単位制の特徴である選択科目を数多く設定し、進路希望に沿った科目を選択して学習できる。「深く学びたい」「幅広く学びたい」といったニーズにも対応し、学びの意欲を全力でサポートする。

 卒業生で石巻市内の福祉施設に勤める女性(25)は「選択科目が多いのが好文の最大の魅力。部活と両立して充実した3年間の高校生活だった」と振り返る。

 週1回の総合的な探究の時間「甲斐(かい)ある人といわれたいむ(甲斐たいむ)」の活動は定評だ。1年次は自分の適性を探る活動で、2年次は適性の分野を絞り研究活動を行う。石巻専修大が協力し、生徒は教官の講演を聞いて研究とは何かを学ぶ。3年次は「自己実現研究」と称し、グループ討議をする。

 3年間を通して社会で求められる「知識・技能」「協働力」「発想力」「課題解決力」といった能力を養い、高い目標の実現につなげる。岡崎拓生教頭は「生徒がこうした資質能力を身に付けて授業や部活に生かし、最終的には進路に結び付けていく」と語る。

 甲斐たいむは、3年間で自分の目指す社会に貢献する姿を探す活動として、好文館高の特徴的な取り組みだ。

 加賀谷校長は「挑戦する気持ちを持って、新しい時代を自分で切り開いてほしい」と期待する。

【校 訓】
自発能動:進んで物事に取り組み、社会の発展に尽くす
一事貫行(いちじかんこう):目標達成のために一生懸命に努力する
醇朴成徳(じゅんぼくせいとく):知性と教養を高め、信頼される人間に成長する

■加賀谷亮校長 創造的な未来を描こう 

 本校は、昨年度竣工(しゅんこう)した新校舎とともに、創立110周年を迎えました。白梅に石の文字を配した校章は、1921(大正10)年に生徒から募集し制定されたものです。「清潔で毅然(きぜん)として生活できる内面豊かな生徒たるべし」という当時の言葉が残されています。

 白梅の花言葉は「気品」。その凜(りん)とした佇(たたず)まいとともに、豊かな歴史と伝統を育んできました。校是「甲斐ある人と言はれなむ」は、私たちの矜持(きょうじ)となっています。

 東日本大震災から11年。被災した教育現場として、今後も学校防災への備えや教訓を絶えず見直し、防災教育に力を注いでいきます。男女共学化も在校生と同じ年齢の17年を迎えます。生徒の皆さんには、大きな夢や目標を持ち、創造的な未来を前向きに描いてほしいと願っています。

■中村寿宏生徒会長 「甲斐ある人」目指す 

 創立110周年。歴史と重みがあり、先輩から受け継がれてきた伝統を後輩にしっかり受け継いでいきたいと決意を新たにしています。

 石巻好文館高の生徒として一番は甲斐ある人になること。社会に貢献していくことです。後輩には地域貢献を重視してほしい。コロナ下でここ2年、地域と関わる機会がありませんでした。コロナが落ち着いてきたら、外でボランティア活動などをして地域との関わりを大切にしてください。

 卒業までの間、新校舎で勉学に励み、進路の実現に努めていきます。

 
<白亜の新校舎、学びに彩り>

 石巻好文館高の新校舎は、新たな歴史を刻む白亜の学びや。外観は白を基調にモダンなデザインが目を引く。1階から4階まで吹き抜けの階段も特徴。九つの選択教室が用意され、生徒が「白梅ホール」と名付けた200人収容の視聴覚教室もある。鉄筋コンクリート4階で、延べ床面積6648平方メートル。

 旧校舎の老朽化に伴って2019年10月に着工し、昨年8月に完成し使用を始めた。学習環境が一新され、生徒はかけがえのない高校生活をエンジョイしている。

明るく快適な空間が創出された校舎内で、4階まで吹き抜けの階段は魅力の一つ
2年次の「甲斐たいむ」で石巻専修大の教官から「研究とは何か」を学ぶ生徒たち=4月、白梅ホール

石巻好文館高の歩み

1904(明治37)年4月 日和山に私立石巻女学校として開校 
 05(明治38)年4月 私立石巻女子実業学校に 
 11(明治44)年9月 石巻町立石巻実科高等女学校として創立 
 19(大正8)年10月 牡鹿郡石巻実科高等女学校と改称 
 20(大正9)年3月 羽黒山に完成した木造の新校舎に移転 
 21(大正10)年4月 県立に移管、県石巻高等女学校と改称 
        11月 梅の花の図案を基に校章制定 
 48(昭和23)年4月 学制改革により県石巻女子高として開校 
        7月 定時制課程を設置 
 68(昭和43)年8月 南谷地(現貞山3丁目)の新校舎に移転 
 69(昭和44)年3月 校舎・体育館落成記念式典 
 72(昭和47)年8月 プール完成 
 82(昭和57)年4月 寄宿舎「白梅寮」廃止 
        12月 新校旗披露 
 90(平成2)年7月 講堂(体育館)が完成 
 91(平成3)年5月 弓道場落成 
 94(平成6)年3月 80年誌発行 
 98(平成10)年3月 第2体育館落成 
2002(平成14)年2月 コンピューター室設置 
 06(平成18)年4月 男女共学化により校名変更、県石巻好文館高に
 08(平成20)年3月 定時制課程閉講
 10(平成22)年4月 進学重視型単位制を導入
 12(平成24)年9月 東日本大震災の影響で1年遅れて創立100周年記念式典を挙行
 21(令和3)年8月 新校舎供用開始
 22(令和4)年5月 新校舎落成記念式典
        9月 創立110周年記念式典

石巻かほく メディア猫の目

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