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事故防止を徹底 秋の交通安全運動スタート 思い一つに各地で展開

石巻署・武内交通課長

 秋の交通安全県民総ぐるみ運動が21日、一斉に始まる。運動の重点に歩行者の安全確保、夕暮れ時と夜間の事故の防止と飲酒運転根絶などを掲げた。30日までの10日間、石巻地方では石巻、東松島両市、女川町の2市1町と石巻、河北両署、各交通関係団体が力を入れて運動に取り組む。

■JR駅でも啓発活動

 東松島市は期間中、街頭での交通安全指導や車両広報などを市内全域で展開する。出動式を21日午前7時に市役所で開き、出動後はJR矢本駅と陸前小野駅で「駅前交通マナーアップ作戦」を実施する。

 女川町も同日午前8時にJR女川駅そばの駅前広場で出動式を実施。式の後に駅前周辺でのぼり旗を掲揚し啓発活動を行う。

 石巻市では午後3時から石巻地区交通安全協会が主体となり石巻署などと連携して「いしのまき絆作戦」を展開する。開催場所を例年の同市元倉交差点から同市穀町の市役所周辺の国道398号沿いに変更して行う。

■合同出動式は22日

 石巻、河北両署、石巻市は合同の出動式を22日午前9時半に桃生総合支所で行う。

 河北署は出動後に交通安全祈願祭を開き、管内のバス会社5社が制作した交通安全の広報ステッカーの披露と貼り付けを行う。トラック協会石巻支部は石巻署にビブスを贈呈する。

 東松島市は24日午後4時から三陸沿岸道矢本インターチェンジ(IC)付近で「シルバーナイト作戦」を展開する。

■バイク愛好者ら協力

 25日午前10時には河北署がスーパーカーやバイクなどの愛好者らとともに、石巻市小船越の道の駅「上品の郷」で交通安全キャンペーンを行う。

 東松島市は29日午後3時半から矢本二中前の横断歩道で「横断歩道止まるっちゃ!ハンドサイン作戦」を行う。

■事故死ゼロ目指す日

 「交通事故死ゼロを目指す日」の30日には、石巻市門脇の石巻中部自動車学校が石巻署などと合同で午後2時から高齢者に対する交通安全講習を行う。

 東松島市は午後5時半から同市矢本のフレスコキクチ矢本店前の県道で「飲酒運転根絶作戦」を実施する。

石巻署交通課長に聞く 「自分は大丈夫」は禁物

 秋の交通安全運動が始まるのに当たり、石巻署の武内和也交通課長に管内の交通事故の発生状況や対策などを聞いた。

-1月から8月末までの管内の交通事故発生状況は。 
 「件数自体は減っているが、重大事故で6人が亡くなり、県内の死亡事故発生件数の3分の1を占めている」

-運転に際して秋口から注意するべき点は。 
 「薄暮時間帯に事故が増える。周囲に自車の接近を知らせるため、早めのライト点灯を意識してほしい」

-歩行者が注意することは。 
 「明るめの服や反射材を身に着けるなど、ドライバーに存在をアピールすることで自分の身を守ってほしい。特に反射材は、ライトなどが内蔵された自発光式のものが効果が高い」

-重点にある飲酒運転の根絶について、管内の状況は。 
 「依然としてなくなっていない。飲酒してからお酒を買い足しに運転するなど、許されないと分かっていても『ちょっとなら』『自分は大丈夫』と運転してしまう。それが大きな間違いで、悪質極まりない危険な行為だ」

-管内の状況を踏まえた署としての重点は。 
 「高齢者と自転車への対策を進めたい。体調が悪い時は運転しないなど、高齢ドライバーにはこれまで以上にリスクを意識してほしい。自転車は道路交通法では軽車両に区分され、免許が不要なだけで車と立場は同じ。交通ルール順守の徹底が求められる」

-地域の安全に向けた今後の方針は。 
 「事故防止のほかにも、さまざまな課題にアプローチする多目的な啓発活動を行いたい。例えば被害者の多くが高齢者である特殊詐欺は、飲酒運転と同じで人ごとだと思ってしまうもの。自転車の盗難被害は無施錠のケースが半分で、防犯意識の啓発が必要だ。他の課とも連携し、交通安全運動をきっかけとした安心安全な街づくりを行いたい」

<人身事故、夕方5時台が突出>

 石巻署管内で過去5年間の9~12月に発生した人身事故の総数は759件。

 時間別に見ると午後5時台が87件と突出して多い。帰宅時間帯に薄暮が重なり事故が起こりやすくなると考えられる。死亡事故も発生しており、2人が亡くなった。

 2番目に多いのは午前7時台の63件。午前6時台の21件から跳ね上がり、午前8時台も54件と多いまま推移している。通勤・通学時間帯においても事故が多くなるのが分かる。

 同署交通課は「秋にかけて日暮れが早くなる。早めのライト点灯を心掛けてほしい。点灯するか迷ったらつけること」と呼びかける。

<発生場所は「交差点」半数>

 同様に人身事故を発生場所別に見ると、総数759件の内、交差点が301件、交差点付近が91件と、事故の半数が交差点がある場所で起きていることが分かる。

 道路外は駐車場などでの事故を指す。発生は61件で全体の8%程度だが、今年4月にも石巻市の商業施設駐車場で歩行者1人が亡くなる事故が発生している。

沿岸6署、絆リレー作戦

石巻署から佐沼署に届けた2本ののぼり

 県警の沿岸ブロック6署は7~8月にかけ連動し、交通事故防止運動「沿岸ブロック絆リレー作戦」を実施した。それぞれの署の取り組みを知ることで沿岸ブロックの連携を生み出すのが狙いで、初めて実施した。

 作戦では街頭キャンペーンで用いるのぼりをバトンに見立て、キャンペーンを実施した順にのぼりを各署から1本ずつ、リレー形式で次の署に引き継いだ。7月22日に気仙沼署で始動し、石巻、佐沼、河北、登米各署の順でのぼりを回し、最終の南三陸署にはのぼり5本が届けられた。

 各署では地域の交通安全協会などと協力し、引き継いだのぼりも活用した街頭キャンペーンを行った。

 石巻署では野だて傘の傍らで啓発チラシやティッシュを配布する「一服作戦」を7月29日に実施。気仙沼署から引き継いだ「後部座席もシートベルト着用」と書かれたのぼりも掲げた。

 リレーの総仕上げは10月28日、登米市東和町の道の駅「三滝堂」で行う「サンライズ作戦」。交通安全グッズとともに米を配る事故防止運動を合同で実施し、のぼりを各署に返還して終了する。

 サンライズ作戦に向け、石巻署の武内和也交通課長は「事故を起こさないために気を緩めず継続して対策を行っていく」と意気込んだ。

石巻地区安全運転管理者会、広報紙「安管だより」

これまで発行した「いしのまき安管だより」と高橋事務局長

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、対面でのさまざまな活動が敬遠される中、交通安全意識の向上を図ろうと、石巻地区安全運転管理者会は広報紙「いしのまき安管だより」を積極的に発行、活用している。

 会には約460の事業所が所属。以前はイベントや配布物などを通して会員と情報共有していたが、新型コロナの流行で直接交流の機会が失われた。高橋長司事務局長はコロナ下での交流方法を模索し、これまで月1回だった安管だよりの発刊ペースを月2回に増やした。

 管内の事故や季節の特徴に合わせた注意喚起のほか、難解な法令の解説など交通環境の改善に向けた記事を掲載。構成も工夫した。A4判用紙1枚にまとめつつ、読みやすさを考え、軟らかい表現に努める。

 高橋事務局長は「安全教育の不徹底で事故が起きれば企業の信頼が失われ、存続にも関わる大変なリスクになる」と安全運転の重要性を説く。

 活動制限が続く中、交流の活発化や認知度向上を目指し手探りを続ける。「事業所が良くなれば地域も良くなる。企業の取り組みが良い社会づくりにつながると誇ってもらえたらいい」(高橋事務局長)と語った。

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