北限のオリーブ、過去最高の実り 石巻4地区で収穫開始
東日本大震災で被災した石巻市内の土地で栽培し、特産化を目指すオリーブの収穫が19日、北上など沿岸部4地区で始まった。
このうちオリーブの木が約900本ある市北上町十三浜の畑で栽培に取り組む「農事組合法人みのり」(千葉昭悦代表理事)は、従業員と家族、産官学民でつくる「石巻市北限オリーブ研究会」のメンバーら約20人が作業した。実は熟す前の硬く締まった鮮やかな緑色をしており、最高品質のエキストラバージンオイルにするため、搾油に適したものだけを選別して収穫した。
今年は大きな天候不順もなく生育は順調、実の数はやや少なめだったが、代わりに実の大きさは昨年より一回り大きく、オリーブの実としては今までで最高の育ち具合という。千葉昭範専務理事(42)は「適度な間引きをしてきて、ようやくオリーブ畑として完成に近づいたと実感している。実の大きさ、品質ともに自信を持って薦められる」と話した。
最高品質のものだけを選別して搾油するのは約100キロと昨年並み。収穫した実はすぐに北上地区にある加工施設で搾油した。
30日、市北上町十三浜の「北上地区多目的広場」で震災後初めて、12年ぶりに開かれる「北上にっこりまつり」で販売する予定。昨年、搾油した分は完売しており、今年も北上地区のイベントで随時販売する。
石巻市でのオリーブ栽培は2014年に始まった。津波被害の大きかった北上、河北、雄勝、網地島の4地区で計1600本を栽培している。昨年から、運営が市から民間に移譲され、特産化へ向けた企業努力が続く。