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女川原発防災訓練 アプリで避難、迅速化検証 QRコードで受け付け登録

避難所に設置されたQRコードをアプリで読み取る住民ら=29日午前9時45分ごろ、大崎市古川の旧富永小

 住民が3年ぶりに参加した東北電力女川原発(女川町、石巻市)の重大事故に備えた本年度の原子力防災訓練では、県が開発したスマートフォンアプリを使った住民避難を検証した。参加者がQRコードの読み取りによる避難所の受け付け登録などを体験し、避難を迅速化できるか確かめた。

 アプリはマイナンバーカードとの連携で住民一人一人に避難先を通知する。到着地ではQRコードの読み取りで受け付けし、用紙の記入が不要となる。経路や避難者対応の簡略化により、避難の円滑化が期待される。

 訓練では、石巻市の牡鹿半島の住民約30人と県、市の職員ら計約100人の避難に活用した。訓練開始後、アプリの通知で旧富永小(大崎市古川)への避難を指示。現行の避難計画では立ち寄る手順の「避難所受付ステーション」を省略し、直行した。

 避難所では、アプリ利用者は設置されたQRコードをスマホで読み取り、到着時の登録を完了。スマホやマイナンバーカードを持たない高齢者らは用紙を記入して受け付けした。どちらもトラブルはなく、10分ほどで終了した。

 石巻市鮎川浜の加藤進さん(82)は「スマホによる受け付けは待ち時間がないのでスムーズだ。トラブルも減るだろう」とアプリの効果を語った。

 一方、用紙記入を選んだ同市狐崎浜の平塚秀正区長(71)は「スマホは持っているが、高齢者にはハードルが高い。通信障害の時はどうするかなどの不安もある」と課題を指摘した。

 県によると、アプリには別々の避難所に逃げた家族の居場所が分かったり、避難者が必要な物資を申し込んだりする機能の導入も検討している。

 訓練に立ち会った村井嘉浩県知事は「前回の訓練よりも受付時間が短くなった」と評価。「今後は各自治体と連携し、スマホに慣れていない人へのサポートなど丁寧な対応をしていく」と述べた。

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