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シャンソン歌手・クミコさん、石巻で11年越しコンサート

11年越しに実現したコンサートで歌声を披露するクミコさん

 公演のために訪れていた石巻市で東日本大震災を経験したシャンソン歌手クミコさんのコンサートが8日夜、市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)で開かれた。舞台のホールは震災当日の会場になるはずだった旧市民会館の後継施設として整備された。クミコさんは11年越しに立つことができたステージで、命や平和の尊さを歌声に乗せて響かせた。

 コンサートは複合文化施設の開館記念事業として市などが主催した。クミコさんは「『やっとホールができました』とお誘いをもらった。なんてうれしいことだろうと思いながら、ここに立たせてもらっています」と感慨を込めた。

 同市不動町にあった旧市民会館の控室にいる時に震災が発生し、裏山の採石場に避難した。当時の状況を振り返り「吹雪の向こうに車がぐるぐる回っているのが見えた。ラジオから『壊滅』と聞こえたが訳が分からなかった」と語った。

 震災後は市内を頻繁に訪れ、復興支援活動を続けてきた。クミコさんは「大変な時代だけれど、命や希望はつながっていく」と聴衆に語りかけ、震災当日の夜を思って作った「きっとツナガル」などを披露した。

 公演中には、4月に任命された「いしのまき観光大使」の委嘱状も交付された。ステージ上で手渡した斎藤正美市長は「石巻に寄り添い続け、歌の力で支えてくれた。どれほど多くの市民が励まされたかは計り知れない」と感謝した。

 クミコさんがロシアの侵攻が続くウクライナの首都キーウを過去に訪れた経験があることから、会場には市内に身を寄せているウクライナからの避難者も招待された。

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