震災題材の自主映画２本、撮影地・大川で上映会　来月11日

　石巻市大川地区出身の会社員佐藤そのみさん（２６）＝東京都＝が大学時代、東日本大震災をテーマに制作・監督した自主映画２本が１２月１１日、大川コミュニティセンターで上映される。これまで県内外で上映会を行ってきたが、映画の舞台となった大川地区での開催は初めて。佐藤さんは「私の生まれ育った場所で、上映会の機会が持ててうれしい」と話す。

　「ある春のための上映会　ｉｎ大川」（実行委員会主催、大川地区振興会など後援）と題して開催。劇映画「春をかさねて」（２０１９年、４５分）と、ドキュメンタリー映画「あなたの瞳に話せたら」（１９年、２９分）の２本で、日大芸術学部映画学科に在籍していたころに大川地区で撮影した。

　震災当時、大川中２年だった佐藤さんは、大川小６年だった妹みずほさん＝当時１２歳＝を津波で亡くしており、映画には自身の体験が重ねられている。

　脚本も手がけた「春をかさねて」は、震災で妹を亡くした１４歳の少女の物語。石巻出身の俳優や地元の劇団員のほか、大川地区の住民がエキストラで出演している。

　「あなたの瞳に話せたら」は児童・教職員８４人が犠牲になった大川小にまつわるドキュメンタリー。震災から８年半が過ぎた１９年１２月に佐藤さんが自らカメラを持ち撮影。友人や家族を亡くした当時の子どもたちがあれから何を感じ、どのように生きてきたかを追った。「東京ドキュメンタリー映画祭２０２０」で準グランプリ、観客賞を受賞。

　これまで上映会は昨年３月の旧観慶丸商店（石巻市中央３丁目）のほか、仙台市や高知市などで行われたが、大川地区で上映されるのは初めて。

　佐藤さんは「震災があっても変わらない大川地区の美しさを映画の中にたくさん閉じ込めた。多くの人に見に来てほしい」と語る。

　当日は午後２時から。上映終了後、佐藤さんや後援団体代表のトークがある。入場無料。事前予約不要。連絡先はａｒｕｈａｒｕｆｉｌｍ＠ｇｍａｉｌ．ｃｏｍまたは０９０（８７８８）２９６５。