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おなかいっぱい食べよう 愛情たっぷり町中華 【特集】炎の町中華 五目でGO

年季が入った中華鍋から一瞬、炎が立ち上る。強い火力で仕上げるからこそ出せる味がある。料理人は日々、炎と対峙する。 (取材協力・中国料理 楓林)

 手頃な値段でボリュームある町中華。セットメニューや単品で私たちの胃袋を満たしてくれる。今回はさまざまな具材が入った「五目」の味を訪ね歩いた。

五目焼きそば/麺香ばしく あんの具材10種類

熱々の五目焼きそば(大盛り960円)。普通盛りは810円

 両面を焼いた香ばしい麺に、具材たっぷりのあんをかける。立ち上る湯気。箸で手繰り寄せて頰張れば、幸せな気分になれるはず。ぷりぷりのエビ、歯ごたえがいいヤングコーン、切れ目を入れた肉厚のイカ、ハクサイやニンジンなど具は10種類。お好みで酢をかけてもいい。

 「上海風とか四川風とかいろいろあるけど、焼いた麺にあんをかけるのが一番うまいと思う」と店主の佐藤伝さん。出身は福島県梁川町。東京の中華料理の名店やホテルなどで腕を磨き、多くの店で食べ歩きをして行きついたのが、この五目焼きそばという。

 壁に掛けている40種類のメニューと卓上のサービス定食メニューと多くのレパートリーの中から、客が一番多く選ぶのが五目焼きそばとか。

 今年74歳になった佐藤さんがJR長町駅に近い現在地で店を開いたのは36年前。周辺では地下鉄が開業し、道幅は拡幅された。同駅東側の旧国鉄貨物ヤード跡地は再開発で「あすと長町」になった。

 周囲の環境はがらりと変わったが、親子3代で通ってくれる人、転勤後に「20年ぶりに来ました」とあいさつしてくれる人がいる。「まだまだ辞められません」。佐藤さんは笑顔を見せた。

中国料理 楓林(ふうりん)

仙台市太白区長町5-12-15 佐竹ビル1階
TEL022-246-1914
営/11:30~15:00、17:00~21:00(日曜、祝日は20:00まで)

   ※LOは閉店30分前
休/水曜

五目カレー炒飯/愛情たっぷり スパイス香るパラパラご飯

五目カレー炒飯(850円)。スープと日替わりの小鉢1品が付く

 赤色ののれんと軒先の雨よけが目を引くレトロなたたずまい。東京や仙台の中華料理店で腕を磨いた鈴木幹夫さんが、妻のとき子さんと1980年に開業。地域で愛される店を目指し、地域名を店名に取った。今年2月からは長男の和彦さんが跡を継ぎ妻の陽子さん、とき子さんで切り盛りする。

 メニューは約100種類を用意する。初代から受け継ぐ「五目カレー炒飯」は鶏肉と豚肉のチャーシュー、なると、ネギ、卵などを宮城県産ひとめぼれと共に強火で炒めている。口の中でパラッとほぐれ、ふんわり優しい口当たり。仕上げにカレー粉が振りかけてあり、スパイスの香りが食欲をかきたてる。「これで1人前?」と思うボリュームだが、和彦さんは「食べ盛りの方にはさらに多くしちゃう」とサービス精神をのぞかせる。和彦さんは東陵高(気仙沼市)が夏の甲子園に出場した1 9 8 8 年、1年生でベンチ入りした高校球児とあり、野球関係者の客も多いという。

左から陽子さん、2代目の和彦さん、とき子さん

中国料理 幸(さいわい)飯店

仙台市宮城野区幸町2-21-3
TEL022-293-0970 
営/11:00~20:00(LO19:30) 
休/日曜

五目かけご飯/「楽屋めし」にも長く愛される味

五目かけご飯(770円)。中華スープが付く

 ご飯が見えないほどの具材は、ハクサイやキャベツ、タケノコ、キクラゲ、エビ、豚肉、ハム、うずらの卵など10種類以上。レンゲですくって頰張ると、上品な醬油あんがからんだ具材はシャキシャキ、コリコリと多彩な食感が楽しい。薬味のネギとショウガが味のアクセントになり、ガス釜で炊き上げた登米市産つや姫のご飯が進む。代表の辻直さんは「鶏の肝を入れているのがポイント。味に深みが出るの」と愛嬌たっぷりに話す。

 東京・浅草出身の辻さんは子どものとき仙台に疎開。高校卒業後は東京に戻ってホテルで修業し、再び妻の古里である仙台へ。1968年に黒松で中華料理店をオープン。78年に仙台駅東口で東龍門を開業し、今の場所に移転して33年になる。長く愛される五目かけご飯は「ご飯少なめ」といった要望に柔軟に対応。同じ建物で催しがある際は楽屋に届けることもある。

辻直さん

中国料理 東龍門

仙台市青葉区国分町3-3-7 東京エレクトロンホール宮城(県民会館)2階 
TEL022-215-8181
営/11:00~20:30(LO20:00) 
休/水曜

五目春巻/味付けしっかり お酒とも好相性

夜限定の五目春巻(2本484円)

 夜限定で登場する「五目春巻」は中国酒はもちろん、日本酒やビールなど、どんなお酒にも合う一品。きつね色に揚がった皮はぱりっと軽く、中にはハクサイやタケノコ、ネギ、シイタケ、豚肉、春雨がぎっしり。醬油ベースの味付けで、隠し味にオイスターソースが加えてあり、あっさりとしていながらもこくがある。からしや醬油を付けてもいいが、そのままでもおいしい。

 店主の我妻大輔さんは蔵王町出身で、同じ県南にある蔵元「蔵王酒造」の「純米酒 しぼりたて原酒」との組み合わせを提案。「しっかりとした飲み口の生酒で、五目春巻に限らず中華料理と相性がいいです」。10㎝ 以上ある大きさの「隆の大餃子」など、他の点心もお薦め。

 2015年の開業。1階は小上がりとカウンター、2階は座敷で、近所のファミリーやビジネスマンが常連になっている。

我妻大輔さん

和醸良酒 隆の恵(わじょうりょうしゅ りゅうのめぐみ)

仙台市青葉区五橋2-10-24 
TEL022-724-7665
営/11:30~14:00(LO13:30)、18:00~22:00(LO21:00)
休/日曜、臨時休あり

五目チャーハン/材料えりすぐり 強火で一気に

エビとカニの身がのる五目チャーハン(1400円)

 きれいな半円形に盛られた五目チャーハンのてっぺんに、エビとカニがのる。コメは卵をまとってパラパラに炒められている。具材はシイタケ、タケノコ、ネギ、チャーシューなど8種類。1969年の創業以来、変えていないという。

 「強い火力で一気に仕上げるからこそ出せる味がある。言うのは簡単だけど実は難しい」と代表の佐藤豊さん。コメは宮城県産のササニシキを使う。他のコメだとべたついてしまうからだ。佐藤さんの長男をはじめベテランぞろいの料理人が、客の注文を次々にさばく。

 セットの卵スープはごま油が香る優しい味わい。おしんこは自家製でしみじみうまい。両者がチャーハンの陰の立役者になっているようだ。

 「うちはえりすぐりの材料を使っています。何でもおいしいよ」。佐藤さんが自信たっぷりに話す。

佐藤豊さん

中国料理 豊園

仙台市宮城野区銀杏町35-4 
TEL022-232-1668
営/11:00~20:30(LO20:00) 
休/無休

笑顔生む 活力の源

 宮城県内の中華料理店でつくる県中華飲食生活衛生同業組合の理事長を2020年まで4期8年にわたり務めた佐藤さん。色麻町の中学卒業後、仙台の老舗中華料理店で腕を磨いて21歳で独立、現在地で店を構えた。

 「町中華はボリュームがあって、手頃な値段でおなかいっぱいになれる。家族でわいわい食べてもいいし、一人で餃子を食べながらビールを飲んでもいい。まさに庶民の味方」。佐藤さんはこう話す。

 仙台の町中華には歴史がある。1937年には現在の組合の前身に当たる仙台支那料理同業組合が、当時の理事長の故四倉義雄さん(龍亭)を中心に、夏場の目玉メニューとして冷やし中華を考案。

 市内の中華料理店で賄い食だったとされるマーボー焼きそばがテレビで紹介されたのは、佐藤さんが理事長だった2013年。組合はチャンスととらえ、「仙台マーボー焼そば」としてPRし、ご当地グルメ化に成功した。

 「仙台の町中華界は冷やし中華に始まった創意工夫を継承している。いろいろな店で味巡りを楽しんでほしい」と期待する。

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(河北ウイークリーせんだい 2022年11月24日号掲載)

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