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大瓜駐在所の統廃合検討 住民や市、県警へ「反対」訴え

石巻署中里交番との統廃合が検討されている大瓜駐在所

 県警が石巻署大瓜駐在所の廃止と、同署中里交番への統合を検討していることが分かった。同駐在所がある石巻市稲井地区の住民は東日本大震災以降、世帯、人口が増加した地域の治安維持への懸念から統廃合に反対しており、市、市議会とともに28日、県警と同署に要望書を提出した。

 稲井地区区長会の高橋誠志会長によると、8月末日に石巻署員が訪れ、方針を説明した。それによると、統廃合は交番の24時間体制勤務による警察機能の強化や複数人勤務体制の確保などを目的とし、同駐在所は連絡所として活用する。

 大瓜駐在所は南境、高木、井内など稲井地区の西側を管轄する。地区は震災以降、被災した他地区からの移転者による住宅再建で人口が増加。新興住宅地の美園1~3丁目には現在約570世帯1500人が暮らす。市複合文化施設や市総合運動公園などもあり、今後も交流人口の増加が見込まれる。

 県が5月に公表した最大級の津波浸水想定では、同地区は浸水箇所が少なく、有事の際、地区外からの避難者が想定される。統合先の中里交番は北上川向こうの市内中心部に位置し、災害時に迅速な対応が取れるか住民から不安の声が上がっている。

 要望書は区長会単独と、市と市議会の連名の2通。統廃合の中止と駐在所の人員増などを求めた。区長会は加えて地区東側が渡波交番管轄となっている同地区を一つの管轄区域とし、原則24時間複数人勤務の交番整備を強く訴えた。

 高橋会長は「警察官が1人いるだけで犯罪への抑止力になる。過疎地ならばまだ理解できるが、人口も公共施設も多い稲井には交番が必要だ」と話した。

 県警警務課は取材に対し、統廃合は2018年に仙台東署東仙台交番で起きた警官刺殺事件などを受けた1人勤務体制などの見直しの一環と説明。「地域の治安にマイナスにならないよう県全体でバランスを考えている。統廃合は住民の意見なども踏まえ検討していく」と述べた。

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