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いしのまき食探見>サツマイモ 優しい甘み、心ほかほか

丁寧に石焼きされる「紅はるか」。ゆっくり甘さが増していくようだ
H&H LABOのサツマイモのジェラート

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

サツマイモ

 寒さがこたえる師走。石巻ではサツマイモが熱い。

 栽培が比較的簡単な野菜と言われてはいるが、寒さによる低温障害で風味を落としやすいことを考えると、石巻地方が栽培に最適とは言い難い。

 そんな中サツマイモ栽培を活気づけようと、いしのまき農協青年部有志は「さつまいも生産組合」を2020年に設立した。生産拡大を図るのは、老若男女問わず愛される食材の魅力があってこそ。

 ねっとりとした食感が特長の「紅はるか」を無農薬で作る鈴木貴郎組合長(42)は「食べて『これはいける』と思った」と話す。組合とは別に組織した「KANAN FARM」の移動販売車「おいも家」では石焼きで提供。3時間焼いた芋はとろけるように甘く、商機を確信したのもうなずける。鈴木組合長は「石巻を一大産地にしたい」と熱く語った。

 サツマイモは冷たい菓子にも映える。東松島市野蒜ケ丘3丁目の「H&H LABO」はこれまで安納芋やシルクスイートのジェラートを提供。現在は二宮真美店長(46)が「芋らしい風味がしっかり出る」と話す紅あずまを堪能できる。

 低温でじっくり焼き上げた芋と蔵王産牛乳で仕上げたジェラートに、つぶさずごろごろ混ぜ込んだ焼き芋がアクセントを与える。外の寒さに少し気が引けたが、一口食べてほどよい甘さに癒やされた。

 年末に向け忙しさを増すこの頃。芋でほっと一息ついてみては。
(西舘国絵)

<メモ>
 KANAN FARMはサツマイモメインの店「OIMOYA JACK」を来年1月、東松島市赤井に開店予定。移動販売車で人気のチップスのほか、スイーツなどを販売する。H&H LABOは「野蒜ケ丘サスティナブルコモンズ」テナントエリア内にある。火曜定休。

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