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ホタテむき身加工場、石巻の水産卸セーフティーが新設

新設したホタテの加工場

 カキやムール貝など活貝を主力とする石巻市松並町1丁目の水産卸「セーフティー」が、ホタテをむき身にするための加工場を本社敷地内に新設した。貝柱の需要が高まっていることを踏まえ、加工分野に進出を決めた。円安を追い風に、輸出拡大も見据える。

 加工場は木造平屋約191平方メートル。コンベヤー付き作業台や急速冷凍機などを備える。プレハブ冷凍庫と本社事務所を併設した。総工費は約1億円。

 11月30日に稼働を開始した。石巻地方や気仙沼市などの漁業者から仕入れたホタテを貝柱に加工し、冷蔵で東京や大阪、名古屋などの料理店に出荷。約2割は台湾や香港など海外に輸出している。

 横江正之社長(57)は「最大で1日800キロの貝柱の生産が可能。冷凍品の販売も強化していきたい」と語る。

 セーフティーは、横江社長が1999年に電子部品製造会社として設立。同市雄勝地区出身で漁業が身近だったこともあり、2010年に水産部門を立ち上げた。東日本大震災では市内にあった各部門の工場が全壊。12年3月に水産部門を再開し、事業を一本化した。電子部品製造業の経験を生かし、独自の自動選別機などを導入して作業効率化につなげている。

 21年からカキのブランド化に取り組み、市内の契約漁業者から仕入れたカキを「独眼竜牡蠣(かき)」として販売している。味、形、大きさに優れた1年物のカキのみを厳選し、5~8月に出荷。殻に仙台藩祖伊達政宗の眼帯を模した装飾を施すのが特徴で、7割を台湾や香港に輸出する。2年目の今年は前年より売上数が3倍に増えた。

 漁業者の声を受け、価格が安定しないツブ貝や販路回復が見通せないホヤの販売強化にも思考を巡らす。横江社長は「漁師と顧客との『三方よし』を目指し、新しいことに挑戦していきたい」と意欲を燃やす。

 セーフティーはホタテ加工場の新設に国の補助金を活用し、日本政策金融公庫(日本公庫)石巻支店と石巻信用金庫が設備資金を協調融資した。日本公庫は、自己資本とみなせる「新型コロナ対策資本性劣後ローン」を適用した。

 両者が同社に協調融資するのは2回目で、2021年秋には東日本大震災に伴う債権買い取りの一括返済資金を支援。復興支援機関への返済を後押しした。

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