石巻市主催の敬老会廃止へ 祝い金事業は継続
石巻市は来年度以降、毎年9月に実施してきた市主催の敬老会を廃止する方針を決めた。東日本大震災後に出席率が大幅に低下した一方、高齢化による対象者の増加で事業費は膨らんでいた。年1回の行事開催よりも老人クラブなど日常的な社会参加の促進にシフトする考え。敬老祝い金事業は継続する。
敬老会は77歳以上が対象。9月の敬老の日前後に例年、旧1市6町と離島の計9会場で開催してきた。2020年度以降は新型コロナウイルス感染拡大で中止し、対象者への記念品送付に切り替えていた。
1市6町が合併した05年度の出席率は26.5%だったが、震災によるコミュニティーの変化などで大きく低下。8%前後で推移し、19年度は8.3%だった。
対象者数は右肩上がりで、19年度は2万1558人。05年度の15006人から約4割増えた。案内状作成や送迎バス運行といった事業費も増加し、19年度は約1314万円だった。
市は行政区や町内会単位での地域開催への移行を検討し、18年度に対象者の意向調査を実施。約6割が市主催の開催を希望したため、継続の方針を決めた。
ただ、新型コロナの収束が見通せない状況もあり、敬老事業の在り方を再検討。県内他市や全国の類似団体では自治体主催が少なく、地域開催にも実施地区の偏りや担い手不足といった課題が多いため、廃止を決めた。
88歳への祝い金1万円、100歳への特別祝い金10万円(居住3年以上10年未満は5万円)は継続する。今後は情報誌などを発行して老人クラブや介護予防教室などの周知を図り、日常的に通える場への参加を促す。
市介護福祉課の担当者は「通いの場など既存の事業を生かして高齢者福祉を充実させる。子どもたちを中心に敬老意識の醸成も図りたい」と語る。