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跳ねる 石巻地方から(5・完)子ども食堂に野菜提供 勝然公夫さん

NPO831’s 勝然公夫さん(70)

ハクサイを収穫する勝然さん(左)と千葉さん

 本職は植木業。農業を通した社会福祉活動という新たな世界に飛び込んだのは「子どもが好き」との思いからだ。

 石巻市高木の勝然公夫さん(70)は昨年4月、任意団体「831’s(1439)(やさいず)」を結成し、代表を務める。食材や寄付金を募って食事を出す子ども食堂の運営団体などに野菜を無償提供する活動に取り組む。

 野菜は自宅の畑や借りた農地で育てたニンジン、ジャガイモ、ハクサイといったその時々で収穫できるもの。現在はNPO法人「放課後こどもクラブBremen(ブレーメン)」や介護職有志でつくる「こども食堂ぼんず」(ともに石巻市)など約5団体が野菜を活用する。弁当のおかずなどにして地域の子どもたちに届ける。

 子ども食堂への社会的関心の高まりを受け、数年前から温めていた構想を実行に移した。当初はさまざまな食料を扱うフードバンクの設立を検討したが、支援の場で野菜の需要が高いことを知り、栽培と提供を活動の中心に据えた。

 勝然さん以外のメンバーは知人の息子の千葉祥太さん(33)のみで、その前職もIT関連とまさに畑違い。鎌の持ち方から始めた千葉さんと2人で周囲の助けを借りながら手探りで事業を進めてきた。

 勝手の分からないまま始めた活動は「楽じゃない」と話すが「困難を抱える人は世代を問わず見えないところにいる」と考え、活動の信念を貫く。「これからの世の中をつくるのは子どもたちだから」

 野菜の提供先から「子どもたちはカレー好き」と聞き、具に使うタマネギの栽培量を増やした。支援する子どもの一部から「きみじっじ」の愛称で慕われる。

 今後は農作業の効率の良さを求めつつ支援の輪の拡大を図る。市社会福祉協議会を通じた野菜の寄付も受け付けており、法人や個人から寄せられた。「野菜はおかずだから」とコメの入手経路確保を目指し、農家との連携を探る。

 活動を始めてまだ1年未満。「辰(たつ)年生まれだから今年のえとのウサギを超え、昇り竜の勢いで期待に応えたい」と笑う。

(西舘国絵)

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